口の中から金属の味がしたら受診の検討を!
なぜ?口の中に広がる不快な金属の味の正体
「口の中に金属の味」がする、と一言でいっても、実際に金属片が溶け出しているとは限りません。これは味覚異常の一種であり、味を感知する舌の「味蕾(みらい)」という器官の機能が何らかの理由で変化したり、唾液の質や量が変わったりすることで生じる感覚です。
例えば、お口の中の細菌が産生するガスや、服用した薬の成分が唾液中に排出されることで、金属に似た不快な味として認識されることがあります。
つまり、この味の正体は、お口や身体に起きている何らかの変化を伝えるサインと言えます。原因を特定し、正しく理解することが、不快な症状を改善するための最初のステップです。
見過ごしがちなサイン、その味は体からのメッセージかもしれません
お口の中にふと感じる金属の味。すぐに消えることもあるため、「気のせいだろう」とつい見過ごしてしまいがちです。
しかし、その背後には、お体からの重要なメッセージが隠されている可能性があります。この症状は、様々な「口の中 金属の味 原因」を示唆しています。
例えば、古い銀歯のイオン化や歯周病といった歯科的な問題だけでなく、栄養素(特に亜鉛)の不足、常用薬の副作用、あるいは内科的な疾患の一つの兆候として現れることもあります。ご自身で原因を判断することは極めて困難であり、放置することで根本的な問題への対応が遅れてしまうリスクも否定できません。その味を軽視せず、専門家へ相談するきっかけとして捉えることが重要です。
不安を安心に。原因を知ることから始めましょう
原因がはっきりしない症状ほど、不安を掻き立てるものはありません。
「口の中に広がる金属の味は、何か重い病気のサインなのでは?」と、一人で悩みを抱えていらっしゃる方も少なくないでしょう。しかし、過度に心配する必要はありません。大切なのは、まずその味の「原因」を正確に突き止めることです。原因が特定できれば、適切な対処法が見つかり、漠然とした不安は解消へと向かいます。
歯科医院では、問診や口腔内の精密な診査を通じて、その原因が歯科領域にあるのか、あるいは医科との連携が必要なのかを判断することが可能です。原因を知ることは、不安を具体的な解決策へと導き、安心を取り戻すための最も確実な一歩となります。
まずは知っておきたい、口の中の金属の味の基礎知識
金属の味とは?「味覚異常」の基礎を理解する
口の中で感じる金属の味は、「味覚異常」と呼ばれる症状の一つです。味覚異常とは、甘味・塩味・酸味・苦味・うま味の5つの基本味を正しく感じられなくなる状態で、「本来の味と違う味がする」「何を食べても味気ない」といった様々な現れ方をします。
中でも、何も口にしていないのに特定の味(この場合は金属の味)を感じる状態は「自発性異常味覚」に分類されます。この症状は、味を感じる舌の細胞や神経の伝達、あるいは脳での味の認識に何らかの不具合が生じているサインです。
まずはご自身の症状を、感覚的な悩みではなく、医学的なアプローチが可能な「味覚異常」として捉えることが、解決への第一歩となります。
口の中は常に変化している。唾液が果たす重要な役割
私たちの味覚は、唾液と深く関係しています。食べ物の味の成分は、まず唾液に溶け込むことで、舌にある味蕾(みらい)というセンサーに届きます。
そのため、唾液の量が減少したり(口腔乾燥症・ドライマウス)、成分が変化したりすると、味覚は正常に機能しなくなります。唾液は、お口の中を潤して清潔に保つだけでなく、味覚を支えるという非常に重要な役割を担っているのです。加齢やストレス、服用中の薬の影響、全身の疾患など、様々な要因で唾液の分泌は変化します。
この唾液の質の変化自体が、口の中の金属の味の直接的な原因となることも少なくありません。お口の中の環境を整えることが、味覚を正常に保つ上で不可欠です。
金属の味を感じるメカニズムとは?
金属の味を感じるメカニズムは多岐にわたりますが、主に2つの経路が考えられます。一つは、お口の中に存在する物質が直接、味蕾を刺激するケースです。
例えば、歯周病菌が産生するガス(揮発性硫黄化合物)や、古い金属の詰め物から溶け出した金属イオンが唾液に混じり、味蕾に作用して金属味として感知されます。
もう一つは、体内に取り込まれた物質が血流に乗り、唾液腺から唾液中へ分泌されて味として感じられるケースです。特定の薬の成分や、体調によって生じる代謝産物がこれにあたります。このように、口の中の金属の味の原因は、お口の中に限定されるものから、全身状態を反映するものまで様々であり、神経を伝って脳が最終的に「金属の味」として認識するのです。
【原因1】お口の中の金属が原因のケース
歯科治療で使われる金属の種類と特性
歯科治療では、目的や部位に応じて様々な金属が使われています。保険診療で一般的に「銀歯」と呼ばれるものは、金銀パラジウム合金という複数の金属を混ぜ合わせたものです。
その他にも、アマルガム(水銀と他の金属の合金、近年ではあまり使用されません)や、より安定性の高い金合金、チタンなどが詰め物や被せ物、インプラント治療などに用いられます。
これらの金属は、それぞれ硬さや錆びにくさ、アレルギーの起こしやすさといった特性が異なります。唾液が存在し、常に温かいお口の中という環境は、金属にとって必ずしも安定した場所とは言えません。どの金属が使われているかによって、金属の味といった症状の現れやすさも変わってきます。
長年使った銀歯は大丈夫?金属イオンの溶け出し
長年使用している銀歯などが、口の中の金属の味の原因となっているケースは少なくありません。お口の中に異なる種類の金属が存在すると、唾液を介して微弱な電流が発生することがあります。
これを「ガルバニック電流」と呼びます。この電流は、金属の腐食を促進し、金属がイオンという非常に小さな粒子となって唾液中に溶け出す現象(イオン化)を引き起こします。溶け出した金属イオンが味蕾を直接刺激することで、ピリピリとした感覚や金属の味として感じられるのです。
特に、酸性の飲食物を頻繁に摂取すると、この反応は促進されやすくなります。これは、お口の中の金属が劣化しているサインの一つとも考えられます。
金属アレルギーの可能性:お口だけでなく全身への影響も
歯科金属から溶け出した金属イオンは、味覚に影響を与えるだけでなく、金属アレルギーの原因にもなり得ます。金属イオンが体内のタンパク質と結合し、それを免疫システムが異物と判断することでアレルギー反応が引き起こされるのです。
症状は、お口の中の粘膜のただれや歯ぐきの変色といった局所的なものに限りません。原因不明の皮膚炎として、手や足の裏などに発疹(掌蹠膿疱症など)が現れるなど、全身に影響が及ぶこともあります。
口の中の金属の味が、実は全身の不調と関連している可能性も否定できません。気になる症状がある場合は、歯科だけでなく、皮膚科などと連携した診断が必要となることもあります。
【原因2】歯周病やむし歯など、お口のトラブルが潜んでいるケース
歯周病菌が作り出す「揮発性硫黄化合物」とは
歯周病が進行すると、歯周ポケット内で特有の細菌が増殖します。これらの細菌は、剥がれた粘膜や血液中のタンパク質を分解する過程で、「揮発性硫黄化合物(VSC)」というガスを産生します。
これは口臭の主な原因物質として知られていますが、その強い化学的な性質から、味覚にも影響を及ぼすことがあります。特に、歯ぐきからの出血を伴うような状態では、血液中の鉄分とこの揮発性硫黄化合物が結びつき、錆びた鉄のような味、つまり金属の味として感じられることがあります。
したがって、お口の中の金属の味は、自覚症状の出にくい歯周病が進行しているサインの一つである可能性も考えられます。
進行したむし歯や、不適合な被せ物の問題
進行して大きくなったむし歯の穴や、古くなって歯との間に隙間ができた被せ物も、金属の味の原因となり得ます。
こうした場所には食べカスや細菌が溜まりやすく、むし歯のさらなる進行や歯ぐきの炎症を引き起こします。細菌が繁殖し、歯の神経が壊死(えし)したり、歯の根の先に膿が溜まったりすると、その膿が口の中に漏れ出して独特の不快な味を感じさせることがあります。
これが、患者様によっては「金属のような味」と表現されることがあります。清掃が困難な場所での細菌活動が活発になることが、口の中の金属の味の直接的な原因となっているケースです。
口腔内の清掃状態と味覚の関係性
お口全体の清掃状態、特に舌の上の汚れ(舌苔:ぜったい)も味覚に大きく影響します。舌苔は、細菌や食べカス、剥がれた粘膜細胞などが堆積してできた細菌の塊です。
この舌苔が厚くなると、味を感じる器官である味蕾を物理的に覆ってしまい、食べ物本来の味を感じにくくなることがあります。さらに、舌苔の中で細菌が活動することで産生される物質が、常に口の中に不快な味を生じさせ、それが金属の味として感じられることもあります。
お口の中の金属の味を考える上で、歯や歯ぐきだけでなく、舌を含めた口腔内全体の衛生状態を良好に保つことが非常に重要です。
【原因3】内科的な疾患や全身状態が関係しているケース
亜鉛不足が引き起こす味覚の変化
味を感じる舌の細胞「味蕾」は、短い周期で新しく生まれ変わっていますが、この新陳代謝に不可欠な栄養素が「亜鉛」です。体内の亜鉛が不足すると、味蕾の機能が低下し、味を感じにくくなったり、本来の味とは違う味に感じたりする味覚異常が起こりやすくなります。
中でも、血中の鉄分の味を感じやすくなることで、金属の味として自覚されるケースは少なくありません。偏った食生活や過度なダイエット、あるいは特定の疾患による吸収不良などが原因で亜鉛は不足しがちです。
お口の中の金属の味の原因として、この亜鉛不足は非常に多く見られるものの一つであり、食生活の見直しや医療機関での相談が推奨されます。
糖尿病や腎臓の病気が隠れている可能性
口の中の金属の味は、全身の疾患が潜んでいるサインである可能性も考慮しなくてはなりません。例えば、糖尿病による神経障害が味覚を司る神経に影響を及ぼしたり、高血糖が原因で口腔内が乾燥し、味覚が変化したりすることがあります。
また、腎臓の機能が著しく低下すると、体内の老廃物(尿素など)を十分に排出できなくなり、その一部が唾液中に分泌されることがあります。これがアンモニア臭や金属様の味として感じられるのです。
もちろん、金属の味がするからといって、必ずしもこれらの病気があるわけではありませんが、他の自覚症状がある場合は、歯科だけでなく内科の受診も視野に入れることが大切です。
服用している薬の副作用も原因の一つに
日常的に服用しているお薬が、口の中の金属の味の原因となっていることも非常に多くあります。降圧剤(血圧の薬)、抗生物質、抗うつ薬、骨粗しょう症の治療薬など、様々な種類の薬の副作用として味覚異常が報告されています。
これは、薬の成分そのものや、体内で代謝された物質が唾液中に排出され、味蕾を直接刺激するために起こります。もし新しい薬を飲み始めてから味覚の変化に気づいた場合は、副作用の可能性が考えられます。
ただし、ご自身の判断で服用を中止することは絶対におやめください。まずはかかりつけの医師や薬剤師、あるいは歯科医師に相談し、情報を共有することが重要です。
【原因3】内科的な疾患や全身状態が関係しているケース
亜鉛不足が引き起こす味覚の変化
味を感じる舌の細胞「味蕾」は、短い周期で新しく生まれ変わっていますが、この新陳代謝に不可欠な栄養素が「亜鉛」です。体内の亜鉛が不足すると、味蕾の機能が低下し、味を感じにくくなったり、本来の味とは違う味に感じたりする味覚異常が起こりやすくなります。
中でも、血中の鉄分の味を感じやすくなることで、金属の味として自覚されるケースは少なくありません。偏った食生活や過度なダイエット、あるいは特定の疾患による吸収不良などが原因で亜鉛は不足しがちです。
お口の中の金属の味の原因として、この亜鉛不足は非常に多く見られるものの一つであり、食生活の見直しや医療機関での相談が推奨されます。
糖尿病や腎臓の病気が隠れている可能性
口の中の金属の味は、全身の疾患が潜んでいるサインである可能性も考慮しなくてはなりません。例えば、糖尿病による神経障害が味覚を司る神経に影響を及ぼしたり、高血糖が原因で口腔内が乾燥し、味覚が変化したりすることがあります。
また、腎臓の機能が著しく低下すると、体内の老廃物(尿素など)を十分に排出できなくなり、その一部が唾液中に分泌されることがあります。これがアンモニア臭や金属様の味として感じられるのです。
もちろん、金属の味がするからといって、必ずしもこれらの病気があるわけではありませんが、他の自覚症状がある場合は、歯科だけでなく内科の受診も視野に入れることが大切です。
服用している薬の副作用も原因の一つに
日常的に服用しているお薬が、口の中の金属の味の原因となっていることも非常に多くあります。降圧剤(血圧の薬)、抗生物質、抗うつ薬、骨粗しょう症の治療薬など、様々な種類の薬の副作用として味覚異常が報告されています。
これは、薬の成分そのものや、体内で代謝された物質が唾液中に排出され、味蕾を直接刺激するために起こります。もし新しい薬を飲み始めてから味覚の変化に気づいた場合は、副作用の可能性が考えられます。
ただし、ご自身の判断で服用を中止することは絶対におやめください。まずはかかりつけの医師や薬剤師、あるいは歯科医師に相談し、情報を共有することが重要です。
【原因4】口腔乾燥症(ドライマウス)が味覚に与える影響
唾液の減少がもたらす、お口の環境悪化
唾液には、お口の中を洗い流す「自浄作用」や、細菌の増殖を抑える「抗菌作用」など、口腔環境を健康に保つための重要な働きがあります。唾液が減少する口腔乾燥症(ドライマウス)の状態では、これらの機能が低下し、食べカスや細菌が口内に停滞しやすくなります。
その結果、むし歯や歯周病のリスクが高まるだけでなく、細菌が繁殖してガスを発生させることで、口臭や不快な味が生じます。この細菌由来の味が、しばしば「金属の味」として感じられるのです。
したがって、お口の乾燥は、単なる不快感にとどまらず、味覚異常を引き起こす口腔環境の悪化に直結する問題と言えます。
ドライマウスの原因は?加齢、ストレス、薬の副作用
口腔乾燥症(ドライマウス)は、様々な要因によって引き起こされます。代表的な原因の一つが、服用している薬の副作用です。
特に、降圧剤、抗ヒスタミン薬、抗うつ薬などには、唾液の分泌を抑制する作用を持つものが多くあります。また、強いストレスは自律神経のバランスを乱し、唾液の分泌を低下させることが知られています。加齢に伴い唾液の分泌量が自然に減少する傾向もありますが、それ以上に、加齢によって全身疾患を抱えたり、服用する薬の種類が増えたりすることが大きく影響します。
その他、シェーグレン症候群のような自己免疫疾患や、糖尿病、放射線治療なども原因となり得ます。
味を感じる「味蕾(みらい)」と唾液の深い関係
私たちが食べ物の味を感じるためには、唾液が不可欠な役割を果たしています。味の元となる物質(味物質)は、まず唾液に溶け込むことで、舌の表面にある味のセンサー「味蕾」に届き、味として認識されます。唾液が不足すると、この味物質の運搬がスムーズに行われず、食べ物の味が分かりにくくなる「味覚減退」が起こります。
さらに、唾液には味蕾の細胞を保護し、その機能を正常に保つ働きもあります。慢的な口腔乾燥は、味蕾そのものにダメージを与え、機能を低下させてしまうこともあります。
このように、唾液の減少は、口の中の金属の味の原因となるだけでなく、食の楽しみ全体を損なうことにも繋がるのです。
【原因5】その他、考えられる原因
妊娠初期にみられる味覚の変化
妊娠初期には、女性ホルモン(特にエストロゲン)のバランスが大きく変動します。このホルモンバランスの変化が味覚や嗅覚に影響を与え、つわりの一環として味覚異常が現れることがあります。
特に、酸味を強く感じたり、苦味や金属の味に敏感になったりするのは、この時期によく見られる症状です。通常、この種の味覚の変化は一時的なものであり、安定期に入ると自然に落ち着くことがほとんどです。
しかし、食事の摂取が困難になるほどの強い症状がある場合は、かかりつけの産婦人科医に相談することをお勧めします。これも、口の中の金属の味の特有な原因の一つです。
風邪や副鼻腔炎などの一時的な体調不良
私たちが感じる「風味」は、舌で感じる味覚と、鼻で感じる嗅覚が合わさって成り立っています。風邪やアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎(蓄膿症)などで鼻が詰まると、匂いを感じる嗅神経の働きが鈍り、食べ物の風味が分からなくなります。
この嗅覚の低下が、結果として「味がしない」「金属のような味しかしない」といった味覚の変化として認識されることがあります。また、鼻や喉の炎症によって生じる膿(うみ)が口の中に流れ込むこと(後鼻漏)も、不快な味の原因となります。
これらの場合は、原因となっている風邪や副鼻腔炎の治療によって改善することが期待できます。
精神的なストレスが味覚に及ぼす影響
過度の精神的なストレスや、うつ状態、不安障害なども、味覚に影響を及ぼすことが知られています。ストレスは自律神経の働きを乱し、唾液の分泌を減少させて口腔乾燥症(ドライマウス)を引き起こすことがあります。
また、ストレスは脳の味覚を認知する部分に直接作用し、明らかな身体的原因がないにもかかわらず、苦味や金属の味を感じる「心因性味覚障害」を引き起こすこともあります。
歯科医院で口腔内や全身的な原因が見つからない場合、このような精神的なストレスが、口の中の金属の味の原因として背景に隠れている可能性も視野に入れ、心療内科などとの連携が考慮されることもあります。
不安を解消するために、歯科医院でできること
まずは相談を。信頼できる歯科医師の見つけ方
お口の中の金属の味や味覚の異常に気づいたら、まずは一人で悩まず専門家である歯科医師に相談することが解決への第一歩です。信頼できる歯科医師を見つけるためには、いくつかのポイントがあります。
まず、患者様の訴えや不安をじっくりと時間をかけて聞いてくれること。そして、考えられる原因や、これから行う検査の内容、治療の選択肢について専門用語を避け、分かりやすく丁寧に説明してくれることが重要です。
また、必要に応じて内科や皮膚科など、他の診療科との連携も視野に入れた提案をしてくれる歯科医師は、お口だけでなく全身の健康まで考えてくれる、頼れるパートナーと言えるでしょう。
どのような検査が行われる?(問診・口腔内診査・レントゲン検査など)
歯科医院では、口の中の金属の味の原因を特定するために、多角的な検査を行います。最初に行うのは丁寧な「問診」です。いつから症状があるか、どのような味がするのか、持病や服用中のお薬、生活習慣などについて詳しくお伺いします。
次にお口の中を直接確認する「口腔内診査」で、むし歯や歯周病の有無、詰め物・被せ物の状態、舌苔の付着具合、唾液の分泌状態などをチェックします。
さらに、詰め物の下や歯の根の状態など、外からでは見えない問題を発見するために「レントゲン検査」を行うこともあります。これらの検査結果を総合的に判断し、原因を絞り込んでいきます。
金属アレルギーが疑われる場合の連携体制(皮膚科など)
診査の結果、お口の中の金属が原因でアレルギーが疑われる場合、確定診断のために医科との連携が必要となります。歯科医院で金属アレルギーの診断を直接下すことはできないため、通常は皮膚科の専門医を紹介させていただき、「パッチテスト」を受けていただくことになります。
パッチテストは、原因となりうる金属の試薬を背中や腕に貼り付け、皮膚の反応を見ることでアレルギーの有無を調べる検査です。
その結果、特定の金属に対してアレルギーがあることが判明した場合は、歯科と皮膚科で連携を取りながら、原因となっている金属の除去や、アレルギーを起こさない素材(セラミックなど)への交換といった治療計画を立てていきます。
気になる疑問を解決!よくある質問(FAQ)
Q. すぐに歯科医院に行くべき?受診の目安は?
A. 金属の味が一時的ですぐに消える場合は、様子を見ても良いかもしれません。しかし、症状が1〜2週間以上続いている場合や、味覚の変化がどんどん強くなる、痛みを伴う、歯ぐきが腫れている、詰め物が取れたり欠けたりしているといった他の症状がある場合は、早めに歯科医院を受診することをお勧めします。
また、特に他の症状がなくても、不快な味が続くことで精神的なストレスを感じているなら、原因を特定して安心を得るためにも、一度専門家にご相談いただくのが良いでしょう。
Q. 治療にはどのくらいの期間や費用がかかりますか?
A. 治療期間や費用は、口の中の金属の味の原因によって大きく異なります。例えば、歯の清掃状態が原因であれば、歯科衛生士によるクリーニングや歯磨き指導で数回の通院で改善が見込めます。
むし歯や不適合な被せ物が原因の場合は、数回から数ヶ月かけて治療を行います。金属アレルギーが原因で金属の詰め物を全て交換するとなると、より長い期間が必要です。費用についても、保険適用の治療か、セラミックなどの保険適用外の材料を選ぶかによって変動します。まずは診査・診断を行い、原因を特定した上で、具体的な治療計画と費用の見積もりをご提示します。
Q. 金属を使わない治療(メタルフリー治療)とは何ですか?
A. メタルフリー治療とは、その名の通り、詰め物や被せ物などの修復物に金属を一切使用しない治療法のことです。主に、セラミックやコンポジットレジン(歯科用プラスチック)といった材料を用います。
金属を使わない最大のメリットは、金属アレルギーやガルバニック電流のリスクを根本からなくせることです。また、天然の歯に近い色や透明感を再現できるため、見た目が非常に自然で美しいという審美的な利点もあります。
さらに、金属のようにイオンが溶け出して歯ぐきを変色させる心配もありません。生体親和性が高く、体に優しい治療法と言えます。
Q. 日常生活で自分でできる対策はありますか?
A. 原因によって対処法は異なりますが、ご自身でできる対策としては、まず口腔内を清潔に保つことが基本です。毎日の丁寧な歯磨きに加え、歯間ブラシやフロスの使用、舌の上の汚れ(舌苔)を優しく清掃することを心がけてください。
また、唾液の分泌を促すため、よく噛んで食事をする、こまめに水分補給をする、シュガーレスガムを噛むなども有効です。食生活では、味覚に重要な栄養素である亜鉛(牡蠣、レバー、赤身肉などに豊富)を意識して摂取することもお勧めします。
ただし、これらはあくまで補助的な対策であり、症状が改善しない場合は必ず専門家による診断を受けてください。
まとめ:不快な味の悩みから解放され、快適な毎日を送るために
原因は一つとは限らない。多角的な視点での診断が重要
ここまでご覧いただいたように、「口の中の金属の味」という一つの症状にも、その背後には実に様々な原因が考えられます。お口の中の金属や歯周病といった歯科領域の問題から、亜鉛不足や全身疾患、服用薬、さらにはストレスといった内科的・心因的な要因まで多岐にわたります。
また、これらの原因が単独ではなく、複数重なり合って症状を引き起こしているケースも少なくありません。
だからこそ、自己判断は難しく、一つの可能性に固執するのは危険です。専門家による問診や各種検査を通じて、多角的な視点から原因を正確に探っていくことが、解決への最も確実な道筋となります。
正しい知識が、適切な治療への第一歩
原因がわからない不快な症状は、大きな不安を伴います。
しかし、今回ご紹介したように、ご自身の症状について正しい知識を持つことで、その漠然とした不安は「解決すべき課題」へと変わります。
どのような原因が考えられるのか、どんな検査や治療法があるのかを知ることは、ご自身が適切な治療を選択し、前向きに取り組むための第一歩です。
また、知識を持つことで、歯科医師とのコミュニケーションもより円滑になり、ご自身の状態を正確に伝え、説明を深く理解することができます。この知識を、ぜひご自身の健康を取り戻すための力としてください。
一人で悩まず、まずは専門家である歯科医師にご相談ください
お口の中の金属の味というデリケートな問題は、なかなか他人に相談しにくいものかもしれません。しかし、この記事を読んでくださったあなたは、もう一人ではありません。不快な症状を我慢し続ける必要はないのです。
私たちは、患者様一人ひとりが抱えるお悩みに真摯に耳を傾け、その原因を突き止め、原因に応じた対応で症状改善のお手伝いをしたいと考えています。どんな些細なことでも構いません。
まずは勇気を出して、専門家である私たち歯科医師にご相談ください。それが、解決への第一歩になります。
監修:青山一丁目 麻布歯科
所在地〒:東京都港区赤坂8-5-32 田中駒ビル1F
電話番号☎:03-6434-9877
*監修者
青山一丁目 麻布歯科
ドクター 安達 英一
*出身大学
日本大学歯学部
*経歴
・日本大学歯学部付属歯科病院 勤務
・東京都式根島歯科診療所 勤務
・長崎県澤本歯科医院 勤務
・医療法人社団東杏会丸ビル歯科 勤務
・愛育クリニック麻布歯科ユニット 開設
・愛育幼稚園 校医
・愛育養護学校 校医
・青山一丁目麻布歯科 開設
・区立西麻布保育園 園医
*所属
・日本歯科医師会
・東京都歯科医師会
・東京都港区麻布赤坂歯科医師会
・日本歯周病学会
・日本小児歯科学会
・日本歯科審美学会
・日本口腔インプラント学会
投稿日:2025年8月27日