突然のトラブルに備える:歯が欠けた/詰め物が外れたときの応急処置マニュアル

 

トラブル発生!歯が欠けた・詰め物が外れた直後に取るべき3ステップ

損傷部位と破片を落ち着いて観察し、写真やメモで記録

欠損の形や大きさ、歯肉の色調変化をスマートフォンのライトで明るく照らしながら撮影しておくと、歯科医が亀裂の走行や再接着の可否を迅速に判断できます。破片の有無や位置関係を正確に把握するため、洗面台や床に落ちた小片も丁寧に探し、見つかればラップや密閉容器に直接入れて乾燥を防ぎます。

さらに「いつ・どんな食品で欠けたか」「最初に感じた痛みの強さと持続時間」「しみる刺激の有無」などをメモアプリに残すと、画像診断と照合する際の重要な補助データになります。こうした客観的情報が揃うことで、神経を温存できる低侵襲治療を選択できる可能性が高まり、治療時間や費用の削減にもつながります。

なお、舌や指で欠損面を触ると微細なエナメル質がさらに剥がれる恐れがあるため、観察は視覚中心にとどめましょう。破片を発見できなかった場合でもその事実を正確に伝えることで、レントゲンや光学スキャンによる隠れ亀裂の検出精度を高められます。

痛み・出血・腫れの有無を確認し、出血時は清潔ガーゼで圧迫止血

拍動を伴う強い痛みは歯髄に近い象牙質が露出しているサインです。まず常温の水で口を軽くすすぎ、血液や落屑を除去して視界を確保します。出血があれば滅菌ガーゼを患部に当てて10〜15分間持続圧迫し、血餅形成を促進してください。

痛みが残る場合はアセトアミノフェンを用量内で服用し、NSAIDsは自己判断での使用を避けます。頬の腫脹や拍動痛が強いときは氷嚢をタオルで包み、15分冷却+5分休憩の“間欠冷却”を繰り返すと炎症の広がりを抑えられます。

発熱や嚥下痛、開口障害が加わった場合は感染波及の危険信号なので、夜間でも歯科救急に連絡を。妊娠中や基礎疾患がある方は市販薬の選択肢が限られるため、まずは専門医に相談するのが安全です。

破片や詰め物を乾燥させずに保存液(牛乳・生理食塩水)へ入れる

脱落した歯質や修復物は、適合が良好であれば再接着や精密な形態復元にそのまま利用できますが、乾燥すると接着強度が著しく低下します。最優先は湿潤保持で、牛乳はカルシウム濃度と等張性に優れ、歯質の脱灰を抑える最適な保存媒体です。

密閉容器に破片が重ならないよう沈めて冷蔵保存し、24時間以内に歯科医院へ持参してください。生理食塩水や専用保存液がある場合はそちらを優先し、ティッシュや紙袋は絶対に使用しないようにしましょう。

時間経過とともに再接着成功率は半減するとされ、欠損後10分以内に保存操作を終えると歯髄組織の生存率が有意に向上するという報告もあります。受診時には保存液ごと破片を手渡し、口腔内写真を併せて提示すると、より精度の高い治療計画につながります。

 

応急処置① 自宅でできる一時保護と痛み緩和法

露出象牙質を覆う

ドラッグストアで購入できる仮封材(テンポラリーセメント)やワセリンは、露出した象牙質を空気・水分・細菌から遮断する“応急カバー”として有効です。綿棒で患部を軽く乾燥させ、米粒大を盛って噛まずに30秒静置すれば応力を分散でき、しみる痛みを大幅に軽減できます。

材料が手に入らない場合は無糖のキシリトールガムを丸めて患部に押し当てる方法も代用可能ですが、ガムは数時間で硬化・収縮し隙間が生じるため、必ず24時間以内に交換または歯科受診してください。いずれの方法でも歯肉との境目に圧をかけ過ぎると炎症が悪化するため、盛り付けは“足りないより少し余る程度”にとどめ、表面を舌でなめて滑らかに整えると周囲組織への刺激が最小限に抑えられます。

アセトアミノフェン系鎮痛薬使用

鎮痛薬はアセトアミノフェン系が第一選択で、成人は4〜6時間以上空けつつ1回300〜500mg、24時間で3,000mgを超えない範囲にとどめます。NSAIDs(例:イブプロフェン)は胃腸障害や血流抑制リスクがあり、潰瘍歴や妊娠20週以降では自己判断服用を避けてください

薬効が切れる前の追加服用は過量リスクがあり、効き目が弱い場合は冷却療法を併用しましょう。患側の頬を氷嚢で15分冷却+5分休止を2〜3セット行うと炎症性サイトカインの拡散が抑制され、痛覚閾値が上がります。また、就寝時には枕を高くして患側を上に向けると拍動痛の抑制に効果的です。加えて、フェイスタオルを丸めて奥歯に挟む“即席ナイトガード”も咬合圧を分散させ、安眠を助けます。

就寝前のカフェインを控える

生活習慣の見直しも疼痛管理には重要です。硬いナッツ類やクラッカー、粘着性のあるキャラメルやグミなどは欠損部に負担をかけ仮封材を剥がす原因になるため、最低72時間は避けてください。代わりに、スープやリゾット、絹ごし豆腐など“スプーンで切れる硬さ”の軟食が推奨されます。

また、甘味料入り飲料や酸性果汁は象牙質の脱灰を促進するため、摂取時はストローを使い、飲んだ後は水でうがいをする習慣をつけましょう。さらに、カフェイン・アルコール・喫煙は血管拡張により痛みを助長するため控えめにし、就寝前1時間はスマホやテレビを避け、副交感神経優位な状態を作ることで夜間痛の発現リスクを下げることが臨床的に確認されています。

 

応急処置② 感染リスクを下げる清掃と洗口のポイント

ぬるま湯+食塩(0.9%)で軽くすすぎ、破片や細菌を除去

市販の食塩を200mLのぬるま湯に2g溶かすと生理食塩水とほぼ同じ0.9%溶液が簡単に作れます。欠損直後は強い水圧で勢いよくうがいをするのは避け、口を軽く左右に傾けながら“そっと揺らす”程度のスワリングが理想です。

塩分の浸透圧作用により、浮遊中の細菌が脱水しやすくなるだけでなく、象牙細管からにじみ出た組織液による酸性環境を緩衝できます。1回あたり20mLを15秒×3セット行うと、バイオフィルム内細菌数を約80%減少させたという報告もあります。

終了後はティッシュで軽く唾液をぬぐう程度にとどめ、強く吐き出さないことが血餅を守るポイントです。

刺激物(熱い・冷たい・酸性・糖質)の摂取を72時間控える

欠損部の象牙質は刺激に敏感な状態であり、極端な温度差や酸性・糖質の摂取は疼痛や脱灰を助長します。熱いスープやアイスクリーム、柑橘系ジュースや炭酸飲料は避けましょう。

また、糖質はミュータンス菌のエネルギー源となるため、欠損部に停滞すると数時間で脱灰が始まる可能性があります。最初の72時間は“常温・軟食・低糖質”を意識し、摂取する場合はストローの使用や直後の水うがいを徹底しましょう。

カフェイン・アルコール・喫煙は血管を拡張し痛みを助長するため控えめにし、夜間の痛みを抑えるには副交感神経を優位に保つ生活習慣が効果的です。

患部を避けてプラークを除去

欠損面に直接ブラシを当てるのはNG。患部から1cm手前までを清掃範囲とし、周囲のみを丁寧に磨きます。

毛の密度が高いソフトタイプの歯ブラシを使い、ペンホールドで1歯あたり5〜10秒の小刻みストロークを意識しましょう。歯間清掃はワイヤータイプではなくワックス付きデンタルフロスを使い、患部から遠い部位から順に行うことで再付着を防げます。

仕上げとして0.05%クロルヘキシジン洗口液で30秒含嗽すれば、24時間後のバイオフィルム再付着を40%以上抑制できるとされています。就寝前はブラッシング後の口腔内を安静に保ち、6時間以上のブラッシングフリータイムを確保することが、血餅安定と再石灰化促進に繋がります。

 

放置が招く3つの危険シナリオ

二次う蝕から歯髄炎へ進行し、神経温存が困難に

欠けた歯や外れた詰め物を放置すると、露出した象牙質表面に唾液中のミュータンス菌が付着し、わずか数時間でバイオフィルムが再形成されます。細菌は糖質を代謝して強酸性の有機酸を産生し、pHが5.5以下になると象牙質が急速に脱灰します。

脱灰はエナメル質より軟らかい象牙質内部で加速的に進むため、数週間で二次う蝕が歯髄近くまで到達するケースも。象牙細管を通じて炎症が歯髄へ波及すると、歯髄充血→漿液性炎→化膿性炎へと悪化し、神経を残す治療(覆髄)の成功率が著しく低下。最終的には根管治療やクラウン修復など、大掛かりな処置が必要となり、治療期間や費用が増大します。

欠けた歯をかばう咬合ズレが顎関節症や肩こりの引き金に

欠損部の違和感や痛みから無意識に反対側で噛む癖がつくと、左右の咀嚼筋に負担差が生まれ、片側性の咬筋・側頭筋が過緊張になります。これが関節円板の前方転位を引き起こし、顎関節症(開口障害・関節音・痛み)や咬合ズレによる顔貌の非対称化へと発展する可能性があります。

咀嚼筋の緊張は頸部や肩の筋肉にも波及し、慢性肩こり・緊張型頭痛、さらには自律神経の乱れによる不眠や全身倦怠感につながる悪循環を招きます。「たかが歯の欠け」と思わず、早めの対応が全身の健康維持にもつながります。

隙間から侵入した細菌が血流に乗り、腫れや発熱など全身症状を誘発

欠損部はエナメル質という天然のバリアを失っており、細菌が象牙細管や歯髄を通じて歯根膜・顎骨にまで達する“感染の入り口”となっています。進行すると腫れ・発熱・リンパ節腫脹などの急性炎症を引き起こし、さらに菌血症→敗血症→感染性心内膜炎と重篤化する恐れも。

特に高齢者、糖尿病・心疾患のある方、妊娠中の方は注意が必要で、全身への影響が顕著に現れる可能性があります。小さな欠けでも軽視せず、早期に歯科受診することが最も確実な予防策です。

 

歯科医院での診断プロセスと治療オプション

デジタルX線・口腔内スキャナーで亀裂深度と二次う蝕を可視化

来院後最初に行うのは、肉眼では確認しきれない内部損傷を把握するための画像診断です。低被曝のデジタルX線は、エナメル質の透過像の濃淡から亀裂の走行や二次う蝕の進行度を0.1 mm単位で描出できます。

さらに最新の口腔内スキャナーを併用すると、欠損部の3Dカラー模型を数分で取得でき、欠けた歯質や脱落した詰め物との適合性をミクロン単位で解析可能です。スキャンデータはその場で拡大・着色表示できるため、患者も自分の歯の状態を立体的に理解しやすく、治療方針の説明が視覚的かつ短時間で済むのが大きなメリットです。

これらのツールを組み合わせることで、従来見落とされがちだった微細な壁在カリエスや象牙質亀裂を早期に発見でき、最小限の切削量で神経温存を図る治療計画へ直結します。

コンポジットレジン修復・セラミックインレー・クラウンの適応判断

診断結果をもとに、失われた歯質量と咬合応力、審美要件を総合評価して修復材料を選択します。

  • 欠損が2面以内:ナノハイブリッドレジンによる即日充填が基本。
  • 3面以上・咬合力が高い部位:ハイブリッドセラミックインレーが推奨。
  • 咬合頂点まで欠損・歯質の大幅喪失:ジルコニアやe.max®などのフルセラミッククラウンによる歯冠修復。

材料選択の際は、耐久年数・削合量・費用対効果を患者と共有し、ライフスタイルに合ったオーダーメイド治療を提案することが長期的な満足度向上に不可欠です。

歯髄保存療法と抜髄の分岐点(冷水痛・電気診・象牙質露出量)

修復設計の要となるのが神経(歯髄)の保存可否判定です。

  • 冷水痛テスト:刺激後5秒以内に痛みが消失すれば可逆性髄炎と判断され、MTAセメントバイオシーラーによる直接覆髄が選択可能。
  • 痛みが長引く・電気診で鈍い反応:不可逆性髄炎が疑われ、抜髄・根管治療が必要。
  • 象牙質露出量:壁厚0.5 mm未満では保存予後が悪く、歯科用CBCTによる立体評価で治療方針を決定。

神経保存は歯の寿命を大きく延ばしますが、感染を取り残すと痛みや腫脹を招くリスクも。明確な診断基準と十分な説明を行い、患者自身が治療を選択できる環境を整えることが、現代歯科医療の重要な役割です。

 

詰め物・被せ物が長持ちする素材選びと費用相場

保険適用レジンインレー:低コストだが変色・摩耗リスクあり

保険適用レジンインレーは、審美性より経済性を重視したい場合の第一選択肢です。歯科用コンポジットレジンを型に流し込んで硬化させるため1日で装着可能で、費用は3割負担で約5,000〜8,000円が目安と比較的リーズナブルです。

ただしレジンは口腔内の吸水で膨張・変色しやすく、5年程度で摩耗や辺縁破折が生じやすいという弱点があります。特に臼歯部では咬合力が200〜300Nと大きく、マイクロクラックが進行しやすい点に注意が必要です。

耐久性を高めるには、毎日のフロスで辺縁リークを防ぎ、半年ごとのシーラント再塗布で表面硬化層を補強すると平均寿命を2〜3年延ばせるという臨床報告もあります。

ハイブリッドセラミック:審美と耐久性のバランスが良い中価格帯

ハイブリッドセラミックは、レジンにセラミックフィラーを高充填し、審美性と適度な弾性を両立した中価格帯の素材です。天然エナメル質に近い硬度のため、対合歯へのダメージが少なく、摩耗バランスが取りやすいのが利点です。

費用は自費診療で、インレー型が4〜6万円部分クラウンで7〜10万円が相場。耐用年数は7〜10年とされています。

水分でわずかに光透過度が低下し、長期的にマット感が出る可能性があるため、定期的な再研磨とコーティングによって光沢を維持。特に咬合力の強い部位では厚み1.5 mm以上の設計グラスファイバーポストの併用が推奨されます。

フルジルコニアクラウン:高強度・金属アレルギー対策に最適だが自費

フルジルコニアクラウンは、曲げ強さ1,000 MPa超を誇る高強度素材で、金属アレルギーの心配がなく、光の透過率も改善された第3世代ジルコニアは前歯にも応用可能です。費用は12〜18万円(自費)と高額ですが、15年以上の生存率が90%超という長期データもあります。

かつての「硬すぎる」という欠点も、表面のグレージング処理により、対合歯の摩耗を抑える工夫が進んでいます。装着時はCAD/CAMでマージン精度を20μm以内に管理し、MDPモノマー含有レジンセメントで高い接着強度を実現。

また、ブラキシズムが疑われる場合は薄型ナイトガードを併用し、週1回のフッ素洗口でマージンの二次う蝕を予防することで、理論上20年以上の長期維持も期待できます。

 

治療当日の流れと安心受診ガイド

受付から診療開始までの基本フロー

来院後はまず問診票で既往歴や服薬状況を確認し、温度測定と血圧チェックで当日の体調を把握します。次に歯科医が口腔内を視診し、必要に応じて小型デジタルX線を撮影して損傷範囲を評価。

画像はチェアサイドモニターに映し出し、欠損部の位置・大きさ・修復方法を図示しながらご説明します。治療内容・所要時間・概算費用を紙面でご案内し、同意書に目を通していただきます。

疑問点が解消されるまで歯科医またはスタッフが丁寧に対応し、納得のうえで治療に進む体制を整えています。待機時間を最小限にし、来院から処置までのストレスを軽減するよう配慮しています。

痛みを抑えるための標準的な麻酔処置

治療前にはジェル状の表面麻酔で刺入時の刺激を緩和し、局所麻酔にはリドカイン製剤を使用。注入速度を一定に保つことで組織の膨張痛を最小限に抑えます。

術中は唾液を吸引しながら患部を明視し、必要最小限の切削で歯の形態を整えます。欠損が浅ければその場で光重合型レジン充填、深ければ型採り→次回装着の二段階方式を採用します。

処置中は随時痛みの有無を確認し、違和感があればすぐに麻酔を追加。処置後にはアセトアミノフェン系鎮痛薬を必要分お渡しし、服用方法と副作用について口頭と書面でご説明します。

術後24時間のセルフケアと定期フォロー

治療当日は麻酔の影響が2~3時間残るため、熱い飲食物や硬い食材は避けてください。出血予防のため、強いうがいは控え、軽めの水すすぎを心がけましょう。

痛みや腫れが出た際は、市販の保冷剤をタオルで包み15分冷却→15分休憩の「間欠冷却」サイクルを1~2回行うと症状が緩和します。

翌日からは柔らかい歯ブラシで周囲のみを清掃し、患部は触れないように注意。3日後に電話確認を行い、違和感があれば早めの再診をご案内します。

1週間後のチェックでは噛み合わせ調整と研磨を行い、その後は3~4か月ごとの定期検診で詰め物の適合や二次虫歯の有無をモニターし、長期的な口腔健康を維持します。

 

治療後のセルフケアと再発予防プラン

歯間ケアとブラッシング習慣の見直し

修復直後の歯は、加熱・乾燥・切削によって微細な亀裂を抱えていることが多く、プラークが付着すると亀裂が拡大しやすくなります。歯ブラシは細く柔らかいソフトタイプを選び、鉛筆持ちで1歯あたり10秒、軽いストロークで磨きましょう。

歯間ケアにはワックス付きデンタルフロスが推奨されます。“C字カーブ”で歯面を包み込み、上下に5回ずつ動かすと効果的です。また、修復歯の隣接面は再発率が高いため、ワンタフトブラシで2秒タッピングするだけでもプラークが約30%減少すると報告されています。

夜のブラッシング後は30分以上の“ノーリンス時間”を確保し、唾液のpH緩衝作用を最大限に活用しましょう。

フッ化物・CPP-ACP活用ガイド

就寝前は1450ppmの高濃度フッ素ジェルを歯面に塗布し、30分間は飲食とうがいを控えるのが理想的です。フッ素はエナメル質をフルオロアパタイトに変え、酸に対する抵抗性を約2倍に引き上げます。

加えて週2回のCPP-ACPペースト使用でカルシウムをエナメル微細欠損に沈着させ、脱灰を可逆的に修復可能です。両者を併用する場合は、CPP-ACPを先に塗布→10分後にフッ素の“ラップ法”が推奨されています。

冷水でしみる知覚過敏がある場合は、朝に硝酸カリウム入り歯磨剤+夜にフッ素という“時間差ケア”が効果的です。

定期検診とプロフェッショナルクリーニングで再発リスクを半減

セルフケアでは取りきれないバイオフィルムやステインは、3〜4か月ごとの定期検診で除去する必要があります。検診では染め出し液でプラーク可視化→エアフロー+研磨を行い、短時間で清潔な歯面へと仕上げます。

さらにダイオードレーザーや超音波スケーラーで歯肉縁下のバイオフィルムを破壊すると、通常のスケーリングよりも約40%付着菌が少なくなるとされています。

咬合チェックやナイトブラキシズムの確認で修復物の劣化を早期に発見でき、定期的な口腔内写真の記録は患者自身のモチベーション向上にもつながります。

さらに、糖質摂取頻度や喫煙習慣に関するカウンセリングを加えると、二次う蝕のリスクは大幅に低減されます。セルフケア+プロフェッショナルケアの二層管理こそが、再発予防の鍵です。

 

緊急時に頼れる歯科医院の選び方チェックリスト

WEBサイトで確認

応急処置で済まない欠けや脱落は、「今日中に痛みを抑えたい」「仕事の合間に一回で終わらせたい」というニーズが強くなります。医院の公式サイトで、「ワンデイトリートメント」や「即日セラミック」といった対応文言があるか確認しましょう。さらに、ミリングマシンや口腔内スキャナーの機種まで明記されていれば高い信頼性が期待できます。

診療時間に関しても「20時まで受付」「土日も診療」と明示されているかを確認し、当日予約に対応したオンライン予約があるかが重要です。電話のみの連絡手段では緊急時に繋がらない可能性があるため、LINE相談やWebチャットなど複数の連絡方法がある医院は即応性が高いといえます。

さらに、災害時や停電時の対応としてバックアップ電源や対策設備について記載がある医院は、危機管理にも注力している証拠です。

治療前に見積もりを提示する医院を選択

急を要する治療時ほど「まず痛みを取りたい」となりがちですが、費用の透明性は非常に重要です。ホームページに点数換算表や税込みの自費価格を掲載し、カウンセリング時に書面で見積もりを提示してくれる医院を選びましょう。

同意書への署名を必須としているか、複数の治療プランを比較検討できるよう配布してくれるかも確認ポイントです。とくに即日修復では、色調カスタムやナイトガード作製などのオプション費用が加算されることがあります。カウンセリングでは「総額でいくらまでに抑えたい」と希望を伝え、それに応じたプラン提示をしてくれる医院を選ぶと安心です。

支払い方法も重要で、クレジットカード・医療ローン・QR決済など複数の支払い手段に対応しているか確認しておくと、急な出費にも備えられます。

感染対策の設備状況をチェック

欠けた歯や詰め物の再装着では出血やエアロゾルの飛散を伴うことが多いため、感染対策の設備が整っているかが重要です。ヨーロッパ基準のクラスBオートクレーブを使用し、器具を個別包装・ロット管理している医院は安心です。

ホームページや院内掲示で「滅菌器名+管理方法」を明示している医院は、トレーサビリティの意識が高い証拠といえます。また、口腔外バキュームの導入状況HEPAフィルターの定期交換チェア間パーテーションの有無、空間除菌システムの運用状況にも注目しましょう。

見学時にライトハンドル・処置台にバリアフィルムが貼られているか、スタッフが患者の目の前でグローブを交換しているかなど、視覚的に確認できる衛生対策も医院選びの判断基準になります。

 

まとめ:早めの受診が未来の歯を守る最善策

応急処置はあくまで暫定対応

ガムや仮封材で覆った欠損部は「痛みが引いたから大丈夫」と錯覚しやすいものの、内部では象牙細管を経由して細菌が歯髄へ到達し続けています。バイオフィルムは24時間以内に再形成され、酸産生による脱灰と再石灰化のバランスが崩れると、わずか数週間で二次う蝕が歯髄近くまで進行することも珍しくありません。

取り返しがつかないレベルに達してから治療を受けると、神経を残す選択肢が失われ、根管治療・土台作製・クラウン装着までのフルコースになり、治療期間は数カ月、費用は数倍に膨らみます。「違和感がある」「しみることが増えた」と感じた時点で受診し、欠損原因を早期に除去するほうが、時間・費用・侵襲のすべてを最小限に抑える近道です。

欠けた部分を速やかに封鎖

咀嚼時に痛みが出る箇所を避けて噛む“逃避咬合”は、左右の咬合力バランスを崩し、側頭筋・咬筋の過緊張や顎関節円板の偏位を招きます。これが慢性化すると片頭痛や肩こり、姿勢不良が連鎖し、自律神経の乱れから睡眠障害や消化不良を引き起こす可能性もあります。

欠損を早期修復すれば、咬合の左右差を最小限に抑え、顎関節と筋肉の負荷分散が早い段階で回復します。また、咀嚼効率が向上すると唾液分泌量と消化酵素活性が高まり、食事の栄養吸収率が改善されることが報告されています。結果としてエネルギーレベルが向上し、全身的なQOL(生活の質)も大きく底上げされるため、“歯を治す”行為は単に痛みを取るだけでなく、全身健康を長期的に守る投資と捉えるべきです。

受診のハードルを下げる3ステップ

  1. オンラインまたはLINEで事前相談:症状写真と質問を送信し、専門家から一次アドバイスを得ることで「通院すべきか」の判断が即座に可視化され、不安が軽減します。
  2. 当日予約枠や夜間枠を検索:仕事や育児の合間でも通える時間帯を確保するため、ホームページのカレンダーやWeb予約システムで空き状況をチェックし、最短で予約を確定させましょう。
  3. 治療費の概算を先に確認:料金表や無料見積もりフォームを活用して大まかな費用感を把握し、クレジット分割・医療ローンなど支払方法を事前に検討すると、金銭的不安が減り決断スピードが上がります。

これらのステップを踏むことで「痛くなったら行く」の受け身から「問題が大きくなる前に動く」という能動的行動へ切り替わり、結果として歯の寿命と治療満足度を大幅に延ばせます。

 

 

 

監修:青山一丁目 麻布歯科
所在地〒:東京都港区赤坂8-5-32 田中駒ビル1F 
電話番号☎:03-6434-9877

*監修者
青山一丁目 麻布歯科
ドクター 安達 英一
*出身大学
日本大学歯学部
*経歴
日本大学歯学部付属歯科病院 勤務
東京都式根島歯科診療所 勤務
長崎県澤本歯科医院 勤務
医療法人社団東杏会丸ビル歯科 勤務
愛育クリニック麻布歯科ユニット 開設
愛育幼稚園 校医
愛育養護学校 校医
・青山一丁目麻布歯科 開設
区立西麻布保育園 園医
*所属
日本歯科医師会
東京都歯科医師会
東京都港区麻布赤坂歯科医師会
日本歯周病学会
日本小児歯科学会
日本歯科審美学会
日本口腔インプラント学会

 

 

投稿日:2025年5月21日

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