「抜くしかない」と言われ、不安になってませんか

かかりつけ医の判断に納得できない理由
かかりつけ医から「抜くしかない」と告げられたとき、説明の短さや理由の伝わりにくさから、その判断をすぐに受け入れられない患者さんは少なくありません。奥歯は咀嚼機能の中心を担う部位であり、失った場合の影響が大きいからこそ、「本当にそうなのか」という疑問が生まれるのは自然な反応です。
また、「抜歯しかない」という言葉だけでは、どの程度の状態なのか、どういう理由でそう判断されたのかが伝わりきらないことがあります。歯の保存が可能かどうかは、歯根の残存量や骨の状態、感染の範囲など複数の要素が絡み合う判断であり、短い診察時間の中ではすべてを丁寧に説明しきれないケースもあります。納得できないまま抜歯に踏み切ることへの迷いは、むしろ歯への真剣な向き合い方の表れとも言えるでしょう。
セカンドオピニオンを求める患者さんが増えている背景
治療方針に迷ったとき、別の歯科医師に意見を求める「セカンドオピニオン」という選択肢を取る患者さんが増えています。その背景には、インターネットで保存治療や精密検査に関する情報が広まり、「もしかしたら歯を残せるかもしれない」という認識が広がってきたことがあります。
歯科医療は医師によって得意領域や使用できる検査・技術が異なることがあります。同じ口腔内の状態であっても、根管治療に精通した歯科医師が詳細な検査をもとに診断した結果と、一般的な診察での判断では、見解が異なることもあります。こうした背景から、「一度診てもらった」だけで判断を確定させず、他の医院での評価を求めることは、今日の歯科医療において患者さんが持つ正当な選択肢の一つと考えられています。
「保存できるかどうか」は条件次第で変わる
抜歯が避けられないケースがある一方で、精密検査や専門的な治療によって保存の可能性が見えてくる場合があります。重要なのは、「抜歯と言われた」という事実そのものではなく、どのような根拠でその判断がなされたか、保存を妨げている具体的な要因は何かという点です。
歯根の状態、感染の深さ、歯を支える骨の量、歯根の破折の位置と方向など、判断材料は一つではありません。CT撮影や拡大視野での精密な観察によって、初診時には見えていなかった情報が明らかになることもあります。「保存できるかどうか」は、診断の精度と治療の選択肢の幅によって変わり得る問いです。現状を詳しく確認することが、次の判断につながります。
奥歯が抜歯と判断される主な原因

重度虫歯(C4)が抜歯判断につながるまでの経緯
虫歯が抜歯の判断につながるのは、歯冠(しかん:歯肉より上の見えている部分)がほとんど崩壊し、歯の根の内部にまで感染が広がった段階です。虫歯の進行度はC0からC4で分類され、C4は「残根状態」とも呼ばれ、歯の頭部がほぼ失われた状態を指します。
C4の状態では、根の内部に感染が生じていることが多く、根管治療(こんかんちりょう:歯の根の中を消毒・封鎖する治療)で感染を除去できるかどうかが保存の可否を左右します。根の壁が薄くなりすぎていたり、歯肉の下まで崩壊が及んでいたりすると、治療器具が届きにくく、修復物を維持するための土台を確保することが困難になります。
「重度虫歯だから即抜歯」ではなく、根が残っているかどうか、感染範囲がどこまで及んでいるかによって、判断は変わります。CT撮影や拡大視野での精査によって、実際の状態をより正確に把握できる場合があります。
歯根破折とはどのような状態か
歯根破折(しこんはせつ)とは、歯の根が割れたり、ひびが入ったりした状態を指します。神経を取り除いた後の歯や、金属製の土台(メタルコア)が入った歯に多く見られ、強い噛む力が長期間かかることで発生しやすいとされています。
破折の問題が深刻なのは、割れた隙間に細菌が侵入し、歯肉や顎の骨に炎症を引き起こすリスクがある点です。痛みや歯肉の腫れ、膿が出るといった症状として現れることがありますが、症状が乏しいまま進行するケースもあり、気づいたときには相当な状態になっていることも珍しくありません。
破折の深さや方向、位置によって対応の選択肢は異なります。垂直方向の深い破折は保存が困難とされることが多い一方で、部分的なひびや水平に近い破折は、検査の結果によって対処できる場合もあります。破折の状態を正確に把握するには、CT撮影やマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を用いた精密な確認が有効とされています。
重度歯周病が抜歯判断に至る流れ
歯周病による抜歯判断は、歯を支える骨(歯槽骨:しそうこつ)が大きく失われ、歯が機能を維持できないと判断された段階で下されます。歯周病は歯周病菌による感染症であり、炎症が長期にわたって続くと、歯の周囲の骨が吸収されていきます。
重度の段階では、歯周ポケット(歯と歯肉の境目の溝)が深くなり、歯がぐらつき始めます。骨の吸収が歯根の先端付近まで進行すると、歯を安定的に支えることが物理的に難しくなります。加えて、歯周病の進行した歯が周囲の健康な歯に悪影響を与えるリスクも考慮されます。
ただし、重度歯周病であっても骨の吸収の範囲や形態、炎症のコントロール状態によっては、外科的なアプローチを含む保存治療の適応を検討できるケースがあります。「重度だから抜くしかない」という結論に至る前に、歯周組織の状態を詳細に評価することが、選択肢を広げる出発点になります。
保存治療とは何か、どこまで対応できるのか

保存治療の定義と根管治療との違い
保存治療とは、抜歯を回避して天然の歯を口の中に残すことを目的とした治療の総称です。根管治療(こんかんちりょう:歯の神経や感染組織を取り除き、歯の根の内部を清掃・封鎖する治療)はその代表的な手段の一つですが、保存治療はより広い概念を指します。
根管治療が「歯の内部の感染を除去する処置」に焦点を当てるのに対し、保存治療には歯周組織へのアプローチや、歯冠(歯の見える部分)の修復を含む複合的な対応が含まれます。「抜歯と言われた歯」に対して何ができるかを考えるとき、根管治療だけが選択肢ではない点を理解しておくと、セカンドオピニオンの場面でより具体的な質問ができるようになります。
ただし、保存治療という言葉が使われるからといって、どのような状態の歯でも残せるわけではありません。保存の可否は、歯の残存量・感染の範囲・周囲の骨の状態など、複数の要素を組み合わせて判断されるものです。
歯周病における保存治療の選択肢
歯周病が進行した奥歯では、歯を支える骨(歯槽骨:しそうこつ)が吸収されることで、「もう残せない」と判断されるケースがあります。しかし、骨吸収の程度や炎症の状態によっては、外科的なアプローチを含む保存治療が検討される場合もあります。
歯周病に対する保存治療の流れとしては、まず歯周基本治療として歯石除去・ブラッシング指導などで炎症を抑えることが優先されます。その後、歯周ポケット(歯と歯肉の間の溝)が深く残る場合には、外科的に歯周組織を直接処置するフラップ手術や、失われた骨の再生を目指す歯周組織再生療法が選択肢として検討されることがあります。
再生療法が適応となるかどうかは、骨欠損の形状や感染の除去が可能かどうかが鍵を握ります。垂直的な骨欠損(骨が特定の方向に深く失われている状態)は再生に適している場合がある一方、水平的に広く骨が失われているケースでは再生の効果が限定的になることも知られています。
保存治療が有効になる条件と限界
保存治療が現実的な選択肢となるのは、歯の根に一定量の健全な部分が残っており、治療後に歯として機能できる見通しが立つ場合です。感染を除去した後、歯冠(かぶせもの)を装着して噛む力に耐えられる状態に回復できるかどうかが、保存の実質的な判断基準になります。
一方で、保存治療には明確な限界もあります。歯根が縦に割れている(歯根破折)場合は、割れた隙間から細菌感染が繰り返されるため、保存が困難と判断されることが多いとされています。また、支持骨の吸収が歯根の先端付近まで及んでいるケースや、虫歯が歯肉より深くまで進行して歯冠の形成が難しい場合も、保存の難易度が大きく上がります。
「保存できるかどうか」は、X線画像だけでは判断が難しいことも少なくありません。歯科用CTによる3次元的な骨の状態確認や、拡大視野での根管内の評価を経て初めて、保存の可否についてより精度の高い見通しが立てられます。かかりつけ医で「抜歯しかない」と言われた場合でも、どのような検査に基づく判断なのかを確認することが、次の行動を考えるうえでの出発点になります。
歯科医が抜歯を勧める判断基準

歯根の残存量と支持骨の状態で変わる判断
歯を保存できるかどうかの判断は、歯根がどれだけ残っているか、そして歯根を支える骨(歯槽骨)がどの程度残存しているかによって大きく変わります。虫歯が深く進行し、歯肉の縁より下まで歯質が失われている状態を「歯肉縁下う蝕」と呼びますが、この場合は修復物を安定させるための歯質が確保できないと判断され、抜歯が勧められることがあります。
歯槽骨の吸収が歯根の長さの半分以上に及んでいるケースでは、補綴物(クラウンなど)を装着しても咬合力を支えられない可能性が高まります。歯根の長さと支持骨の残量は、見た目や触診だけでは把握しにくく、歯科用CTや精密なレントゲン撮影によって初めて正確に評価できる部分です。同じ「グラつきがある」という状態でも、骨吸収の量と分布によって保存治療の適応可否が分かれることがあります。
歯根破折の位置・方向が保存可否を左右する理由
歯根破折(しこんはせつ:歯の根が割れた状態)は、その割れの位置と方向によって、保存できるケースとできないケースが明確に異なります。破折が歯冠部(歯の見えている部分)に近い浅い位置で起きており、かつ水平方向に割れている場合は、割れた部分を除去して残った歯根を活用できる可能性があります。
一方、破折が歯根の先端付近まで及んでいる場合や、歯根を縦に貫く「垂直性破折」の場合は、歯根膜(歯と骨をつなぐ薄い組織)が破折線に沿って感染を起こしやすく、保存治療を施しても再感染が繰り返されるリスクが高いとされています。このため、垂直性破折は多くの場合で抜歯の判断につながります。奥歯では強い咬合力がかかることもあり、根管治療後の歯や、長年の噛み締め習慣がある方では特に破折が起きやすい傾向があります。
全身疾患・服薬状況が治療選択に与える影響
口腔内の状態だけでなく、患者さんの全身疾患や服薬内容が、歯を残すための外科的処置を行えるかどうかを左右することがあります。たとえば、骨粗しょう症治療に用いられるビスフォスフォネート系薬剤を服用している場合、顎骨への外科介入が顎骨壊死(がっこつえし)のリスクを高める可能性があるため、歯周外科や抜歯そのものに慎重な対応が求められます。
血液をさらさらにする抗凝固薬や抗血小板薬を服用している方では、出血が止まりにくくなる場合があり、外科処置の前に担当医や内科医との連携が欠かせません。また、血糖コントロールが不安定な糖尿病の状態では、術後の感染リスクや治癒の遅延が生じやすいことが知られています。保存治療を検討する際には、口腔内の所見だけでなく、こうした全身的な背景を含めた総合的な評価が治療方針に反映されます。
重度虫歯・歯根破折でも歯を残せる可能性がある3つの条件

根管治療で感染除去が可能かどうかの判断
重度虫歯(C4)の奥歯であっても、根管(こんかん:歯の根の内部にある細い管)の感染を取り除いた後に歯根が一定量残せる状態であれば、抜歯を回避できる可能性があります。根管治療とは、虫歯菌に侵された歯髄(しずい:歯の神経・血管を含む組織)を除去し、根管内を清掃・消毒したうえで封鎖する処置です。
保存が見込める条件として、歯根の長さが骨の中にある程度残っていること、歯根外面に感染が波及していないこと、土台(コア)を立てて被せ物を装着できる歯質が残存していることが挙げられます。逆に言えば、歯冠部が崩壊していても歯根が健全であれば、ファイバーコアなどで補強したうえで機能回復を目指す余地があるということです。
ただし、根管の形状は個人差が大きく、湾曲や分岐が複雑な奥歯では感染除去が難しくなる場合があります。根管治療の精度が保存可否を大きく左右するため、拡大視野での精密な処置に対応できる診療体制かどうかが、治療の成否に直接影響します。
歯周組織再生療法が検討される状態とは
歯周病による骨吸収が進んだ奥歯の場合、歯周組織再生療法という選択肢が検討されることがあります。これは、歯を支える骨(歯槽骨)や歯根膜が失われた部位に対して、組織の再生を促す材料や薬剤を用いる外科的処置です。すべての重度歯周病に適応できるわけではありませんが、条件が整っていれば抜歯を先送りにする可能性を探れる場合があります。
再生療法が検討されやすいのは、骨吸収が歯根の一部に限局しており、周囲の骨壁が一定数残っているケースです。歯の動揺(ゆれ)が中等度にとどまり、かつ口腔衛生状態の改善が見込まれる場合に、外科的アプローチが有効になりやすいとされています。
一方で、骨吸収が歯根先端付近まで及んでいたり、複数方向からの骨壁が失われていたりする状態では、再生療法の効果を期待しにくくなります。再生療法の適応可否の判断には、骨の形状や欠損のパターンを立体的に把握することが求められるため、詳細な画像診断が前提になります。
精密検査(CT・拡大視野)が保存判断に欠かせない理由
「抜歯しかない」という判断が覆るかどうかは、どれだけ精度の高い情報を得られるかによって変わります。通常のレントゲン(二次元画像)では、歯根の重なりや骨の三次元的な欠損形態を正確に把握することが難しく、保存の可能性を見落とすケースがあります。歯科用CTを用いた断層撮影によって、骨の残存量や破折線の位置・方向を立体的に確認できることで、判断精度が高まります。
拡大視野での診査も同様に重要な役割を担います。肉眼では確認しにくい歯根の亀裂や、根管内の感染の広がり、歯肉縁下(しにくえんか:歯茎の下)の虫歯の範囲などを、拡大された視野で観察することで、治療介入の余地があるかどうかをより精密に評価できます。
「この歯は保存できない」という判断は、こうした精密検査の情報を積み上げたうえで初めて確度が高まるものです。検査なしに視診や二次元画像だけで下された抜歯判断は、再評価の余地が残されている場合があります。別の医院でCT撮影や拡大視野での診査を受けることで、これまでと異なる治療選択肢が提示されることは、臨床的に起こり得ます。
保存治療に取り組む医院を選ぶときの判断軸

根管治療の専門性と対応体制を確認するポイント
歯を残せるかどうかは、根管治療(こんかんちりょう:歯の神経や感染した組織を取り除いて歯根を保存する治療)の精度に大きく左右されます。感染の取り残しや根管の見落としがあると、症状が再燃し、結果として抜歯の判断につながるケースがあるためです。
確認したいのは、治療にあたる歯科医師の専門的なバックグラウンドと、使用する機器・材料の内容です。たとえば、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)による拡大視野での処置、ラバーダム防湿(治療中に唾液や細菌が入り込まないよう歯を隔離するシート)の使用、CT撮影による根管形態の立体的な把握といった体制が整っているかどうかは、治療の精度に直接影響します。
「専門の歯科医師が担当しているか」という点も、医院選びの目安になります。根管治療を専門的に手がける歯科医師が在籍している体制であれば、複雑な症例でも丁寧に検討してもらえる可能性が高まります。
歯周病専門の歯科医師が在籍しているかどうか
奥歯の保存を検討するうえで、歯周病(しゅうびょう:歯を支える骨や歯肉に影響する感染症)の状態を正しく評価できる体制があるかどうかも重要な判断軸です。重度虫歯と歯周病が同時に進行しているケースは珍しくなく、どちらか一方だけを診て治療方針を決めると、見落としが生じることがあります。
歯周病専門の歯科医師が在籍している医院では、歯周組織の状態を専門的な視点で評価したうえで、保存治療の適応可否を判断してもらえます。歯周外科治療や歯周組織再生療法(失われた歯を支える組織の回復を図る外科的なアプローチ)の対応が可能かどうかも、事前に確認しておくとよいでしょう。
日本歯周病学会の専門医・指導医といった資格を持つ歯科医師が在籍しているかどうかは、医院の専門性を判断するひとつの材料になります。資格の有無がすべてではありませんが、専門的なトレーニングを経ているという裏付けとして参考にできます。
セカンドオピニオンを受けやすい環境かどうか
「抜歯しかない」と言われた後に別の医院へ相談することを、後ろめたく感じる患者さんは少なくありません。しかし、セカンドオピニオンは治療の選択肢を広げるための正当な手段であり、保存治療を検討するプロセスとして定着しつつあります。
受診しやすい環境という観点では、平日の夜間や土日祝に診療している医院かどうかも現実的な条件です。仕事や家事の合間に通院を続けるには、診療時間の幅が実際の行動を左右します。加えて、検査結果や治療方針を丁寧に説明してもらえるかどうか、疑問を持ちやすい雰囲気かどうかも、長期にわたる治療を続けるうえで見ておきたい点です。
現在通院中の医院への不満を前面に出す必要はありません。「他院でこう言われたが、状態を確認してほしい」という形で相談できる医院であれば、保存可否の判断を冷静に聞く場として機能します。セカンドオピニオンの目的は「別の答えを求めること」ではなく、「自分の歯の状態を正確に把握すること」です。
抜歯後の選択肢についてもあわせて知っておく

インプラント・入れ歯・ブリッジの違いと特徴
奥歯を失った場合、主な補綴(ほてつ:失った歯を人工的に補う)の選択肢はインプラント・入れ歯・ブリッジの3種類に大別されます。それぞれ構造と適応条件が異なるため、一律に「どれが優れているか」とは言い切れません。
インプラントは顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上に人工歯を装着する方法です。隣の歯を削らずに済む点が特徴的で、噛む力の回復という観点でも評価されています。入れ歯は取り外し式で骨への外科的処置が不要ですが、違和感や固定力の問題が生じるケースもあります。ブリッジは両隣の歯を土台として人工歯を橋渡しする構造で、固定式である一方、支台となる歯を削る必要があります。
奥歯は噛む力が集中する部位であり、補綴の選択は骨の状態や残存する歯の状況によって変わります。保存治療を検討している段階でも、万が一抜歯になった場合の選択肢をあらかじめ把握しておくことで、治療計画全体を落ち着いて考えられるようになります。
奥歯を放置したときに起こる口腔内の変化
奥歯を失ったまま補綴処置を行わずにいると、隣接する歯が欠損部分に向かって傾いてくることがあります。また、噛み合わせの相手となる反対側の歯が少しずつ伸び出す(挺出)という変化も生じやすくなります。
こうした歯の移動は口腔内のバランスを崩し、特定の歯に噛む力が集中する状態を作り出します。その結果、新たな歯周組織へのダメージや顎関節への負担につながる場合があることが知られています。歯列のずれが大きくなれば、後から補綴治療を行う際に矯正処置が必要になるケースもあります。
欠損を放置する期間が長くなるほど、対処の選択肢が限られていく傾向があります。「抜歯しかない」と告げられた直後こそ、補綴の選択を含めた治療計画を具体的に検討し始めるタイミングと言えるでしょう。
保存治療と補綴治療を組み合わせるケース
保存治療と補綴治療は相反するものではなく、組み合わせることで機能回復を目指せる場合があります。たとえば根管治療で感染を取り除いた後、歯の内部を支えるコアを立てた上にクラウン(被せ物)を装着するというプロセスは、保存と補綴を組み合わせた典型的な流れです。
歯周病で支えの骨が減少している場合も、歯周外科治療や歯周組織再生療法によって組織の状態を整えた後、補綴で噛む機能を回復させる方向性が検討されることがあります。どこまで組織を改善できるかという保存治療の評価が、補綴の設計にも直接影響するため、両者を切り離して考えることは難しいという面があります。
こうした複合的なアプローチを検討するには、保存・歯周病・補綴それぞれの領域に対応できる診療体制が求められます。単一の治療法だけで判断するのではなく、口腔全体の状態をふまえた治療計画を立てられる環境かどうかが、セカンドオピニオン先を選ぶ際の重要な視点になります。
よくある疑問にお答えします

歯根破折は必ず抜歯になるのか
歯根破折(しこんはせつ:歯の根が割れた状態)のすべてが即座に抜歯となるわけではなく、破折の位置や方向、割れの深さによって対応の幅が変わります。歯根の上部に限られた水平方向の破折であれば、感染の程度や残存する歯根の長さによって、保存を検討できるケースがあります。
一方、縦方向(垂直)に走る破折は、歯根膜や周囲の骨に細菌が侵入しやすく、保存が難しいと判断されることが多い状態です。また、破折線が歯根の先端付近まで達している場合も、回復に必要な支持構造を確保できないため、保存適応が狭くなります。
破折した歯の状態は、通常のレントゲンだけでは判断が難しく、歯科用CTを用いることで破折の位置や骨への影響をより精度高く把握できる場合があります。「破折=抜歯」と一律に判断するのではなく、詳細な検査を経た上で治療方針を検討することが、歯を残せるかどうかの分岐点になります。
一度抜歯と言われた歯を別の医院で診てもらえるか
かかりつけ医で抜歯と言われた歯でも、別の歯科医院でセカンドオピニオンを求めることは、患者さんの正当な権利です。治療方針に納得できない場合や、保存の可能性について別の視点からの評価を聞きたい場合に、別の医院で診てもらうことは珍しくありません。
セカンドオピニオンを受ける際には、現在の医院で撮影したレントゲンやCT画像、これまでの治療経緯に関する情報を持参すると、診断の精度が上がります。画像データがあることで、新たに同じ検査を繰り返す手間が省けるだけでなく、過去の状態と現在の状態を比較した評価も可能になります。
「セカンドオピニオンを受けると、かかりつけ医との関係が気まずくなるのでは」と感じる方もいらっしゃいます。ただ、歯を失うかどうかという判断は生活の質に大きく関わるため、疑問を持ったまま治療を進めるよりも、納得した上で方針を決める方が、長期的な口腔の健康につながると考えられます。
保存治療を試みた後に抜歯になった場合はどうなるか
保存治療を試みた結果として抜歯に至るケースがあることは、事前に理解しておくことが重要です。根管治療や歯周外科治療を行っても、感染が再燃したり、歯根を支える骨の回復が不十分だったりした場合、最終的に抜歯と判断されることがあります。これは治療の失敗ではなく、歯の状態に対して段階的に対応した結果として生じる経過の一つです。
保存治療を行った後に抜歯となっても、その後の選択肢はあります。インプラントや入れ歯、ブリッジといった補綴(ほてつ:失った歯を人工的に補う)治療で咬合機能を回復させることが可能です。保存治療を試みた期間は決して無駄にはならず、周囲の歯や骨の状態を整える上で意味を持つ場合があります。
保存治療の前に「保存できなかった場合の次のステップ」まで含めて説明を受けておくと、治療全体の見通しが立ちやすくなります。どの段階でどのような判断をするのか、治療計画の中で確認しておくことが、納得のいく意思決定につながります。
港区・青山一丁目で保存治療を相談するときの流れ

初診で持参すると役立つ情報・資料
初診時に現在の歯の状態を正確に把握するうえで、これまでの治療経過が分かる資料があると、診察がスムーズに進む場合があります。かかりつけ医で撮影したレントゲンやCT画像があれば、データや印刷物として持参しておくと、歯根の状態・骨の吸収範囲・過去の根管治療の有無などを初診の段階から確認できます。
「抜歯が必要」と言われた理由を可能な範囲でメモしておくことも有効です。どのような診断名だったか、どの歯を指摘されたか、治療歴として何年前に何をしたかといった情報は、歯科医師が保存の可否を検討する際の出発点になります。現在服用中の薬がある場合は、お薬手帳もあわせてお持ちください。処方内容によっては治療選択肢や外科処置の適応に影響することがあります。
検査から治療方針の説明までに必要な期間の目安
保存治療が可能かどうかの判断には、口腔内診査・レントゲン・CT撮影などの精密検査が必要で、初診当日にすべての判断が出るとは限りません。歯根の状態や支持骨の残量は、二次元のレントゲンだけでは読み取りにくい場合があり、CT画像で立体的に確認して初めて判断の精度が上がることがあります。
検査結果をもとに治療方針を説明するまでの流れは、受診時の混雑状況や歯の状態の複雑さによっても変わります。一般的には、初診で検査を行い、次回または同日に結果を説明するケースが多いとされています。セカンドオピニオンとして訪れた場合でも、診断に必要な情報が十分に揃っていれば、比較的早い段階で方針の目安をお伝えすることが可能です。
青山一丁目駅周辺で通院しやすい医院の条件
保存治療は根管治療や歯周外科を含む場合、複数回の通院が必要になることがあります。そのため、職場や自宅からのアクセスのしやすさが、治療を継続できるかどうかに関わってくる場合があります。港区・青山一丁目エリアで働く方にとっては、平日の昼休みや仕事終わりに通えるかどうかが、受診のしやすさを左右する実際的な条件です。
青山一丁目麻布歯科は、銀座線・半蔵門線・大江戸線が乗り入れる青山一丁目駅から徒歩圏内に位置しています。平日は19時半まで診療しており、土日祝も対応しているため、仕事のスケジュールに合わせて通院の計画を立てやすい環境が整っています。重度虫歯・歯根破折・歯周病を含む保存治療の相談に対応しており、根管治療専門の歯科医師および歯周病専門の歯科医師が在籍しています。
諦める前に、一度状態を確かめてみませんか

この記事で整理した保存治療の判断ポイント
「抜くしかない」という言葉を受け取ったとき、その判断が本当に最終的なものなのかどうか、この記事を通じて少し整理できたのではないでしょうか。保存できるかどうかは、歯根の残存量、周囲の骨の状態、破折の位置と方向、感染の範囲など、複数の条件が絡み合って決まります。
重度虫歯であれば根管治療で感染を除去できるかどうか、歯周病であれば支持骨の吸収度合いと外科的アプローチの適応があるかどうか、歯根破折であれば割れの方向が垂直か水平かによって判断が大きく変わります。CTによる立体的な画像診断や拡大視野での精密な確認が、こうした判断の精度を左右する要素になります。いずれも「診てみなければわからない」という側面を持っており、精密検査を受ける前に諦める必要はない場合があります。
重度虫歯・歯根破折・歯周病に向き合う当院の診療姿勢
青山一丁目麻布歯科では、歯周病専門の歯科医師と根管治療専門の歯科医師が在籍しており、重度の状態であっても保存の可能性をていねいに検討する診療体制を整えています。歯周組織再生療法やマイクロスコープを用いた精密な根管治療など、保存治療に関わる複数の選択肢に対応しています。
「患者さんを家族と想う」という診療方針のもと、治療の選択肢とリスクを包み隠さず説明し、患者さん自身が納得した上で方針を選べることを大切にしています。重度の虫歯や歯周病、歯根破折といった難しい状態に直面したときこそ、単に処置を進めるのではなく、現状の正確な把握から始めることが、その後の判断の質を変えると考えています。
セカンドオピニオンを検討している患者さんへ
かかりつけ医の判断に疑問を感じることは、決して失礼なことではありません。治療の選択は患者さん自身の生活にも長く影響するものであり、納得できないまま進めるよりも、別の視点から状態を評価してもらうことは、合理的な行動として広く認められています。
当院では、他院で抜歯を勧められた奥歯の状態についても、改めてCT撮影や詳細な検査をもとに評価を行い、保存の可能性があるかどうかを率直にお伝えしています。「保存できない」という結論になるケースも当然あります。ただ、その判断が精密検査に基づいたものであれば、患者さんご自身も納得しやすくなります。青山一丁目駅から徒歩1分という立地で、平日夜や土日祝にも診療しているため、働きながら受診を検討している方もご相談ください。
監修:青山一丁目 麻布歯科
所在地〒:東京都港区赤坂8-5-32 田中駒ビル1F
電話番号☎:03-6434-9877
*監修者
青山一丁目 麻布歯科
ドクター 安達 英一
*出身大学
日本大学歯学部
*経歴
・日本大学歯学部付属歯科病院 勤務
・東京都式根島歯科診療所 勤務
・長崎県澤本歯科医院 勤務
・医療法人社団東杏会丸ビル歯科 勤務
・愛育クリニック麻布歯科ユニット 開設
・愛育幼稚園 校医
・愛育養護学校 校医
・青山一丁目麻布歯科 開設
・区立西麻布保育園 園医
*所属
・日本歯科医師会
・東京都歯科医師会
・東京都港区麻布赤坂歯科医師会
・日本歯周病学会
・日本小児歯科学会
・日本歯科審美学会
・日本口腔インプラント学会
投稿日:2026年5月19日