重度歯周病でも矯正を始められる?治療順序と歯ぐきの回復条件

「歯周病があるから矯正は無理」と諦めていませんか

 

 

 

検診で言われた言葉が頭から離れない理由

「歯周病が進んでいるから、矯正は難しいですよ」という一言は、長年気になっていた歯並びへの希望を一瞬で遠ざける言葉として記憶に残りやすいものです。検診でそう伝えられた方が、その後もその言葉を引きずり続けるのには、明確な理由があります。

歯周病は目に見えにくい病気であり、自分の状態がどの程度なのか、患者さん自身には判断しにくいという側面があります。「難しい」と言われた背景の説明がなければ、「もう無理なのかもしれない」という解釈に傾くのは自然なことです。「歯並びを整えたかったのに、何も手を打てないまま年齢を重ねてしまうのだろうか」という不安が、受診のきっかけを遠ざけてしまうケースは少なくありません。

検診での「難しい」という言葉は、多くの場合「今すぐこの状態のまま矯正を始めることは難しい」という意味であり、矯正という選択肢そのものを否定したものではないことがあります。その文脈を正確に理解するためにも、歯周病と矯正の両方を診られる環境で改めて評価を受けることが、選択肢を広げる第一歩となります。

 

「難しい」は「できない」ではない

「歯周病があると矯正はできない」という認識は、厳密には正確ではありません。歯周病が進行している状態のまま矯正を開始することは歯周組織への負担を高めるため避けるべきですが、歯周病の状態を適切にコントロールしたうえで矯正治療を検討する流れは、歯科臨床において広く採用されているアプローチです。

「難しい」という表現の背景には、治療の前提条件が整っていないという状況判断があります。言い換えれば、その前提条件を整えることで、矯正という選択肢が視野に入ってくるということでもあります。歯周病の炎症がコントロールされ、歯を支える組織が安定した状態になれば、矯正の適応を改めて評価できる場合があります。

重要なのは、歯周病と矯正を別々の問題として切り離さず、一体の治療計画として考えられる環境で相談することです。「どちらか一方しか診られない」環境では「難しい」という判断が出やすくなります。両方を継続的に管理できる診療体制のもとで評価を受けると、異なる見通しが示される場合があります。

 

諦める前に知っておきたい治療の順序

歯周病がある状態で矯正を考えるとき、治療の順序が結果を大きく左右します。一般的には、まず歯周病の炎症を落ち着かせる「歯周基本治療」から始め、歯ぐきと骨の状態を評価したうえで矯正の可否を判断するという流れが基本となります。この順序は、矯正中に炎症が拡大するリスクを避けるために設けられているものです。

歯周基本治療では、歯の表面や歯周ポケット内に付着したプラーク(歯垢)や歯石を丁寧に取り除き、炎症の原因を減らしていきます。この段階でセルフケアの方法も見直すことで、口腔内の環境を整えていきます。状態によっては、歯周外科治療や歯周組織再生療法が検討されることもありますが、その判断は炎症コントロールの結果をもとに行われます。

「矯正を始められるかどうか」は、この治療の流れを経たうえで判断されるものです。諦める前に確認すべきは、その流れを一貫して対応できる歯科医院に相談できているかどうかという点です。歯周病の状態と矯正の見通しを同じ環境で評価してもらえることで、今後の選択肢がより明確になります。

 

 

重度歯周病と矯正の関係を正しく理解する

 

歯周病が進行すると歯と骨に何が起きるか

歯周病が進行すると、歯茎の炎症だけでなく、歯を支える骨(歯槽骨:しそうこつ)そのものが溶けていく変化が起きます。歯周病菌の出す毒素に対して体の免疫細胞が反応し、炎症性物質を慢性的に放出し続けることで、骨を吸収する細胞の活動が高まります。この反応が長期間続くほど、歯槽骨は少しずつ、しかし着実に失われていきます。

骨が減ると歯を固定する土台が薄くなり、歯根膜(しこんまく:歯と骨をつなぐ繊維組織)への負担が増して歯が揺れやすくなります。矯正を考えるうえで重要なのは、この「骨の残存量」です。矯正治療は歯に力をかけて骨の中を動かす治療であるため、骨がどれだけ残っているかが治療設計の根幹に関わります。

 

炎症がある状態で矯正を始めると何が問題か

活発な炎症が残ったまま矯正の力をかけると、骨の吸収が加速するリスクがあります。矯正では歯に持続的な力を加えることで、力がかかる側の骨を吸収させ、反対側に新しい骨を作るという骨のリモデリング(作り替え)を利用します。しかし炎症がある状態では、骨を吸収する細胞がすでに活性化されているため、このバランスが大きく崩れます。

その結果、新しい骨が形成されるより吸収が上回り、矯正の力が歯周組織にとってさらなる負担となる可能性があります。「矯正したいから早く始めたい」という気持ちは自然ですが、炎症のコントロールが不十分なまま装置を装着しても、歯の安定した移動が見込めないだけでなく、歯周組織の状態をより複雑にしてしまうことがあります。

 

「重度」とはどのような状態を指すのか

歯周病の重症度は、歯周ポケット(歯と歯茎の間の溝)の深さ、歯槽骨の吸収量、歯の動揺度などを総合して評価されます。一般的に歯周ポケットが6mm以上に達し、歯槽骨の吸収が歯根の3分の1以上に及ぶ状態が「重度」と判断される目安とされています。この段階では、日常のブラッシングや歯科医院でのクリーニングだけでは炎症のコントロールが難しく、外科的な処置が検討される場合があります。

「重度と言われた」という言葉を検診で聞いた方は、自分の歯がもう手の施しようがないのではないかと感じることもあるかもしれません。ただし、重度であることと矯正が検討できないこととは、必ずしも同じではありません。骨の残存量や炎症の状態を精密に評価したうえで、歯周治療を先行させることで矯正の選択肢が広がるケースがあります。現状の正確な把握が、次の判断への出発点となります。

 

 

歯周病と矯正、治療順序が重要な理由

 

炎症コントロールが矯正の前提になる根拠

歯周炎症が残ったまま矯正を開始すると、歯を動かす力が骨吸収をさらに加速させるリスクがあります。矯正では歯根の周囲に意図的な圧力をかけることで骨を少しずつ再形成しながら歯を移動させますが、このメカニズムは歯周組織が健全であることを前提として成立します。

炎症が活発な状態では、歯根膜(しこんまく:歯と骨をつなぐ繊維性の組織)や周囲の骨がすでにダメージを受けています。そこへ矯正力が加わると、組織の修復が追いつかず、骨が想定外の方向に吸収されることがあります。炎症のコントロールは「矯正の準備」ではなく、矯正を安全に成立させるための土台そのものといえるでしょう。

 

歯周基本治療から始める標準的な流れ

歯周病と矯正を並行して扱う場合、まずスケーリングやルートプレーニング(歯根面の清掃・滑択化)といった歯周基本治療を行い、歯肉の炎症を落ち着かせることが優先されます。この段階では、ブラッシング指導を通じたセルフケアの見直しも同時に進めます。プラーク(歯垢)の管理能力が十分でなければ、その後のどの治療も効果を発揮しにくいためです。

基本治療で炎症が改善した後、歯周ポケットの深さや骨の状態を再評価します。ここで改善が認められれば、矯正開始の可否を検討するフェーズに進めます。重度の場合は歯周外科処置が必要になることもあり、その結果を踏まえて矯正の適応を判断するのが一般的な流れです。治療の順序は患者さんごとに異なりますが、「基本治療→再評価→矯正」という段階的な視点は共通して重視されます。

 

順序を誤ると骨吸収が加速するリスク

炎症が残存したまま矯正を進めると、歯槽骨(しそうこつ:歯を支える顎の骨)の吸収スピードが通常の歯周病進行よりも速くなることがあります。矯正力は歯根の周辺組織に継続的な圧力をかけ続けるため、すでに脆弱化している骨への負担が重なりやすい状態が続くことになります。

「矯正で歯並びが整えば歯が磨きやすくなり、歯周病も改善するのでは」と考える方もいらっしゃいます。確かに清掃性の向上は歯周病管理に有利に働く面はありますが、それは炎症が十分にコントロールされた後の話です。炎症のある状態で矯正を開始することは、状態の改善ではなく悪化につながる可能性があります。「矯正を急ぎたい」という気持ちが先行するほど、この点を見落としやすくなるという点も、治療順序を理解する上で押さえておきたいところです。

 

 

歯科医が矯正開始の可否を判断する3つの基準

 

歯周ポケットの深さと骨の残存量の評価

矯正を開始できるかどうかの判断で、まず歯科医が確認するのは歯周ポケット(歯と歯ぐきの間の溝)の深さと、歯を支える骨(歯槽骨)がどれだけ残っているかという2点です。健康な状態であれば歯周ポケットの深さは1〜3mm程度ですが、重度歯周病では6mm以上に深まり、骨の吸収が広範囲に及んでいるケースも少なくありません。

骨の残存量は、歯科用CTやレントゲンによる画像診断で評価されます。矯正装置が歯に力を加えると、歯は少しずつ移動しますが、その動きは骨の中で歯根周囲の組織が作り変わることで生じます。支える骨が著しく少ない状態では、この作り変えのバランスが崩れ、歯の移動が安定しなくなります。骨の残存量は「治療の可否」だけでなく「どのような移動量が現実的か」という計画の精度にも直結するため、精密な評価が求められます。

 

歯の動揺度と支持骨のバランス確認

歯のぐらつき(動揺度)は、歯周病の進行度を示す重要な指標であり、矯正の可否を判断する際に必ず確認される項目のひとつです。歯が前後・左右・上下方向にどの程度動くかを専用の器具で測定し、動揺の程度を段階的に評価します。

動揺が大きい歯に矯正力を加えると、支持骨がさらに失われる方向に作用するリスクがあります。ただし、動揺がある=矯正不可とは一概に言えず、炎症が除去された後に動揺が落ち着くケースもあるため、歯周基本治療後の再評価が判断の根拠になります。支持骨と動揺のバランスを総合的に見て、矯正力に耐えられる状態かどうかを確認する過程は、治療の安全性を担保する上で欠かせない手順です。

 

セルフケアの習熟度と再発リスクの判断

歯科医が矯正開始の判断材料として見ているのは、歯周ポケットの深さや骨の量だけではありません。患者さん自身が毎日のセルフケアを確実に行えているかどうかも、重要な評価基準のひとつです。磨き残し(プラーク)の付着率が一定の水準を下回らないと、矯正装置を装着した状態での炎症管理が難しくなるためです。

矯正装置が口の中に入ると、歯の清掃は健康な歯列の状態よりも複雑になります。清掃が行き届かないまま矯正を進めると、歯周病が再燃する可能性が高まります。当院では歯周病治療のなかでブラッシング指導を行い、患者さんが自分で炎症をコントロールできる技術を身につけることを、治療移行の前提として重視しています。セルフケアの習熟は、矯正後の歯周メンテナンスにもそのまま活かされる土台となります。

 

 

重度歯周病でも矯正が検討できる回復条件

 

 

炎症が落ち着いたと判断できるサイン

矯正治療を開始できる状態かどうかを判断する最初の目安は、歯肉の炎症が臨床的にコントロールされているかどうかです。具体的には、歯肉の腫れや自然出血が治まり、歯周ポケット(歯と歯肉の境目にできる溝)の深さが改善されていることが確認できた段階で、矯正への移行が検討されます。

炎症が残った状態と、落ち着いた状態では、歯肉の色や質感にも変化が現れます。赤みやブヨブヨとした膨らみが引いて、歯肉が引き締まった状態になることが、一つの臨床的な指標となります。ブラッシング時の出血が大幅に減少しているかどうかも、セルフケアの定着と炎症の鎮静を確認するうえで参考になります。

ただし、「痛みがなくなった」「出血しなくなった」という自覚だけで炎症が収まったと断定することはできません。歯周ポケットの深さや骨の状態は、検査によってはじめて正確に把握できるため、担当医による評価が前提となります。

 

歯周外科治療が矯正の選択肢を広げるとき

歯周基本治療だけでは炎症のコントロールが難しいケースでは、歯周外科治療(フラップ手術など)によって歯肉の深部をより精密に処置することで、矯正を検討できる状態へ近づく場合があります。歯周ポケットの奥深くに残っている歯石や感染組織を直接取り除くことが、基本治療との大きな違いです。

外科処置によって炎症源が取り除かれると、歯肉の形態が整い、矯正装置の装着やメンテナンスがしやすい環境になります。また、歯肉の状態が安定することで、矯正中の力のかかり方に対して歯周組織が適切に応答しやすくなるとも考えられています。

外科治療の後は一定の治癒期間を経てから矯正の可否が再評価されます。このように治療のステップが増えることで全体の期間は長くなりますが、状態を整えた上で矯正を進めることが、長期的な安定につながる場合があります。

 

歯周組織再生療法が検討される場合の位置づけ

歯周外科の一つとして、歯周組織再生療法(失われた歯を支える骨や組織の回復を目指す処置)が検討されることがあります。この治療は、歯周病によって吸収された骨の状態によっては、組織の回復を促すことで歯の保存性を高め、矯正治療への移行を視野に入れた土台づくりにつながる場合があります。

再生療法にはいくつかのアプローチがあり、エムドゲインのようなタンパク質製剤を用いる方法や、人工骨・コラーゲン膜などを組み合わせる方法が知られています。どのアプローチが適切かは、骨の吸収パターンや欠損の形態、全身的な健康状態などによって異なるため、精密検査の結果をもとに検討されます。

再生療法はあくまで「回復を促す可能性がある処置」であり、骨がどの程度回復するかは個々の条件によって異なります。治療の順序として再生療法が位置づけられる場合でも、その後の定期的なメンテナンスと口腔衛生管理が、治療成果を左右する大きな要因になります。

 

 

大人の矯正で選べる装置と歯周病への配慮

 

 

マウスピース型矯正と歯周病の相性

歯周病の既往がある方にとって、矯正装置の選択は治療効果だけでなく歯周組織への影響も考慮する必要があります。その点で、マウスピース型矯正は歯周病経験者との相性が比較的よいと考えられています。ワイヤーやブラケットのような固定式装置と異なり、装置を取り外せるため、食後や就寝前のセルフケアを通常に近い形で行えます。

歯周病が落ち着いた後の矯正では、歯肉の状態を維持しながら歯を動かすことが求められます。取り外し可能な装置は、歯肉の境目や歯間部へのブラッシングが妨げられにくく、炎症の再発を抑えやすい環境を保ちやすいという側面があります。当院で対応しているマウスピース型矯正装置「クリアコレクト」も、こうした清掃性の観点から歯周病経験のある患者さんに選ばれることがあります。

ただし、装置が歯周組織に配慮した設計であっても、歯の移動そのものが歯周組織に負荷をかけることに変わりはありません。矯正開始前の歯周状態の評価と、治療中の定期的なモニタリングが、装置選択と同じかそれ以上に重要です。

 

清掃性の高い装置が炎症再発を防ぐ理由

矯正中の口腔内は、装置があることでプラーク(歯垢:細菌の塊)が蓄積しやすくなります。特に固定式装置では、ブラケット周囲やワイヤー下部が清掃しにくく、歯肉の炎症が再燃するリスクが高まります。歯周病経験者にとって、この「炎症が再びスイッチが入りやすい環境」を避けることは、治療全体の成否に直結します。

取り外し可能なマウスピース型矯正では、食事中・清掃中に装置を外せるため、歯と歯肉の境目を直接ブラッシングできます。歯間ブラシやフロスも装置の障害なく使えるため、プラーク除去率を維持しやすい点が、炎症管理の観点で評価されています。清掃が行き届く環境かどうかが、矯正期間中の歯周組織の安定に影響します。

一方で、マウスピース装置を長時間外し続けると矯正効果が低下するため、装着時間の管理と清掃習慣の両立が求められます。清掃性の高さを活かすには、装置を外したタイミングでの確実なケアを積み重ねることが、その利点を実質的なものにします。

 

矯正中も続けるべき歯周メンテナンスの意味

矯正が始まると「歯並びを整える治療」に意識が向きがちですが、歯周病経験者にとって矯正中の歯周メンテナンスは治療の一部として継続する必要があります。歯を動かしている期間は歯根膜(しこんまく:歯と骨をつなぐ薄い組織)に持続的な力がかかり、歯周組織は通常より変化しやすい状態にあります。この時期に歯肉の炎症が再発すると、骨吸収が進みやすくなる可能性があります。

矯正中の歯周メンテナンスでは、歯科衛生士によるプロフェッショナルクリーニングでセルフケアでは届きにくい部位のプラークや歯石を定期的に除去します。加えて、歯周ポケットの深さや出血の有無を継続的に確認することで、炎症の再発を早い段階で把握できます。

矯正終了後も、歯並びが整った状態を長く維持するためには歯周組織の健康が土台になります。歯並びが改善されても、歯を支える骨や歯肉の状態が悪化していれば、歯の安定性は保てません。矯正中のメンテナンスを続けることは、矯正後の状態を守るための準備でもあります。

 

 

矯正と歯周病を同時に診られる医院の選び方

 

 

歯周病専門と矯正を一体で扱う診療体制

重度歯周病と矯正の両方を同時に抱えている場合、最も重要なのは「2つの治療を同じ医院で連携して進められるかどうか」という点です。歯周病の状態が矯正の進行に直接影響するため、それぞれを別々の医院で診ていると、治療方針の共有が難しくなります。

歯周病の専門的な知識を持つ歯科医師と矯正を担当する歯科医師が同じ院内で情報を共有できる体制であれば、炎症の状態を確認しながら矯正の開始時期や進行ペースを調整することが可能です。たとえば「歯周ポケットの深さが改善した段階で矯正荷重をかける」「矯正中に歯肉の状態が変化した場合にすぐ対処できる」といった対応は、一体化した診療体制でこそ実現しやすくなります。

総合歯科医院として歯周病治療から矯正まで幅広く対応している医院かどうかを、初診の段階で確認しておくことが、治療全体のスムーズな進行につながる場合があります。

 

精密検査・外科処置への対応範囲の確認

重度歯周病の患者さんが矯正を検討する場合、基本的なクリーニングや炎症コントロールだけでなく、必要に応じて歯周外科処置まで対応できるかどうかを確認することが大切な判断軸になります。歯周ポケット(歯と歯肉の間の溝)が深く、器具が届きにくい部位には外科的なアプローチが必要になるケースがあるからです。

具体的には、フラップ手術(歯肉を切開して根面の汚染を除去する処置)や歯周組織再生療法への対応があるかどうかが、治療選択肢の幅を左右します。加えて、CT撮影による骨の残存量の評価や、細菌検査による感染状態の把握といった精密検査が院内で完結できる環境かどうかも、確認しておきたいポイントです。

矯正前に歯周外科処置が必要と判断された場合、その処置を別の医院で受けるよりも、同一医院内で一貫して進められる方が、治療の方向性に齟齬が生じにくいと考えられます。

 

矯正後の長期メンテナンス体制と通院環境

矯正が完了した後も、歯周病既往のある患者さんには継続的なメンテナンス(サポーティブペリオドンタルセラピー)が欠かせません。矯正によって歯並びが整っても、歯周組織の炎症管理を怠ると再発リスクが残るため、矯正後の通院体制がどれほど整っているかは、医院選びの重要な基準の1つです。

仕事や家事で忙しい40代の方にとって、通院のしやすさも現実的な問題です。平日の昼間に時間を確保しにくい場合、夜間や土日祝に対応している医院であれば、メンテナンスを継続しやすい環境が整っています。青山一丁目麻布歯科では、平日19時30分まで・土日祝も診療を行っており、長期にわたる治療やメンテナンスに通いやすい体制が整っています。

治療の質と通院継続のしやすさは、切り離して考えることのできない要素です。歯周病のコントロールは一時的な処置で完結するものではなく、矯正後も含めた長いスパンで支える医院環境が、治療結果の安定に深く関わってきます。

 

 

よくある疑問をまとめて解消する

 

 

矯正中に歯周病が再発したらどうなるか

矯正中に歯周病が再発した場合、矯正治療を一時中断し、歯周病の再治療を優先するのが原則です。歯を動かすには健全な歯周組織が必要であり、炎症が起きたまま矯正を続けると、歯を支える骨がさらに失われるリスクがあります。

再発のサインとして多いのは、歯肉の出血・腫れ・歯周ポケットの再深化です。これらが確認された場合、歯科医師の判断のもとで矯正装置の調整を止め、スケーリング(歯石除去)や口腔衛生指導を再度行うことになります。

矯正中の再発リスクを下げるうえで特に見落とされがちなのが、装置周辺の清掃不足です。ブラケットやマウスピース装置の周囲にはプラークが蓄積しやすく、定期的な歯周メンテナンスとセルフケアの水準を矯正開始前から意識的に高めておくことが、再発を防ぐ現実的な手立てとなります。

 

歯周病の治療期間はどのくらいかかるか

歯周病の治療期間は病状の進行度によって幅があり、軽度から中等度では数か月、重度になると1年以上にわたるケースも珍しくありません。「治療が終わった」と感じる瞬間がわかりにくい点も、この病気の特性です。

治療の流れとしては、まずブラッシング指導と歯石除去を中心とした歯周基本治療を行い、一定期間後に歯周組織の状態を再評価します。その評価の結果によって、歯周外科治療や歯周組織再生療法が検討される段階へ進む場合があります。

矯正を希望している場合、この再評価で炎症のコントロールが確認されてはじめて矯正開始の可否を判断できます。つまり、矯正開始までの期間は「歯周病の重症度」と「セルフケアの習熟速度」の両方に左右されます。焦らず段階を踏むことが、矯正を安全に進めるための土台になります。

 

費用はどのように変わるか

歯周病治療と矯正治療を組み合わせる場合、それぞれの治療が独立して発生するため、矯正単独と比べると総費用は増加する傾向があります。歯周基本治療は保険適用の範囲がありますが、重度歯周病で歯周外科治療や歯周組織再生療法が必要になると、自費診療の選択肢が加わる場合があります。

矯正治療の費用については、使用する装置の種類や治療期間によって異なります。マウスピース型矯正装置を選択した場合と、ワイヤー型装置を選択した場合では費用の構造も変わります。また、矯正期間中も歯周メンテナンスの通院が継続的に必要となるため、その費用も見込んでおく必要があります。

費用面で見落とされがちなのは、矯正終了後のリテーナー(保定装置)費用や、長期メンテナンスにかかるトータルコストです。診断時に治療全体の費用感を確認しておくことで、治療途中に想定外の負担を感じにくくなります。

 

 

港区・青山一丁目で歯周病と矯正を相談するなら

 

 

歯周病専門医が在籍する総合診療の強み

歯周病と矯正を別々の医院で受け持つと、治療の判断タイミングや情報共有にズレが生じやすく、矯正の開始可否が曖昧になることがあります。青山一丁目麻布歯科には日本歯周病学会専門医・指導医の資格を持つ歯科医師が在籍しており、歯周病の状態を専門的な視点で評価しながら矯正との連携を同じ医院内で検討できる体制があります。

歯周病の進行度や炎症のコントロール状況を評価する担当と、矯正の計画を立てる担当が同一の診療体制の中で連携できることは、重度歯周病を抱えながら矯正を検討する患者さんにとって、治療の一貫性という面で意義があります。「歯周病が落ち着いたら矯正の相談をどこにすればいいか」と悩む前に、同じ医院で両方を相談できる環境は、治療の次のステップを見通す助けになるでしょう。

 

歯周基本治療から外科・矯正までの一貫した対応

当院では、歯周基本治療として歯石除去やブラッシング指導を行うとともに、炎症のコントロールが進んだ段階で歯周外科治療や歯周組織再生療法の適応を検討することができます。エムドゲインやCGFフィブリンゲルをはじめとした再生促進材の使用にも対応しており、骨や歯肉の状態を改善したうえで矯正へつなぐ流れを院内で組み立てることが可能です。

矯正治療では、マウスピース型矯正装置「クリアコレクト」に対応しています。歯周病治療後の歯肉状態に配慮しながら、口腔内スキャナを用いた精密なデータ取得に基づいて矯正計画を進めます。重度歯周病の症例では、歯周基本治療から再生療法、そして矯正へと段階的に治療が進むケースもあります。各ステップを同じ医院で担えることが、治療全体のスムーズな進行につながる場合があります。

 

土日祝・平日夜まで通える診療体制

歯周病と矯正を並行して管理する治療は、通院回数が増える局面があります。「仕事が忙しくて平日の昼間に通えない」「子どもがいるので土日しか動けない」という状況の患者さんにとって、受診できる曜日や時間帯の幅は、治療継続を左右する現実的な条件です。青山一丁目麻布歯科は平日19時半まで診療を行っており、土日祝も診療を受け付けています。

青山一丁目駅から徒歩1分という立地は、通勤・通学の動線に組み込みやすい点でも、定期的なメンテナンスを続けやすい環境といえます。歯周病治療は単発の処置で終わるものではなく、治療後も定期的なサポーティブペリオドンタルセラピー(メインテナンス)を継続することが、矯正中の炎症再発を防ぐうえで重要になります。通院のハードルが低い環境が、長期にわたる治療管理の継続性を支えます。

 

 

歯周病があっても、矯正を諦めないでください

 

 

この記事で確認できた重要な3つの視点

この記事を通じて伝えてきた核心は、「歯周病があるから矯正ができない」ではなく、「治療の順序と回復条件を整えることで、矯正が選択肢になりうる」という点です。炎症のコントロール、歯周組織の安定、そしてセルフケアの習熟という3つの条件が揃ったとき、矯正治療の検討が現実的な話になってきます。

2つ目は、歯周病と矯正を一体で診られる診療体制の重要性です。歯周基本治療から外科処置、矯正、そして矯正後のメンテナンスまでを一貫して見てもらえる環境は、治療の継続性と安全性に直結します。担当医が変わるたびに情報が引き継がれないという状況は、リスクの見落としにつながる場合があります。

3つ目は、矯正後の管理が治療の完成を左右するという視点です。歯並びが整った後も、歯周組織の状態を定期的に確認し続けることが、長期的な口腔の健康を支えます。矯正はゴールではなく、歯を長く健康に保つための通過点と考えると、受診への意欲も変わってくるでしょう。

 

重度歯周病に向き合う青山一丁目麻布歯科の診療姿勢

青山一丁目麻布歯科では、歯周病治療を診療の中核に据えており、日本歯周病学会専門医・指導医の資格を持つ歯科医師が在籍しています。歯周基本治療にとどまらず、フラップ手術や歯周組織再生療法など、状態に応じた外科的処置にも対応しています。重度歯周病であっても、諦める前にまず状態を正確に把握することが、次の選択肢を広げる出発点になります。

矯正治療については、マウスピース型矯正「クリアコレクト」を用いた対応を行っており、歯周病治療後の経過を見ながら矯正の適応を検討するという流れも、院内で一貫して相談できる環境が整っています。「歯周病が進んでいるから矯正は無理」と別の医療機関で言われた方でも、現在の状態を改めて詳しく診てもらうことで、見通しが変わるケースがあります。

 

気になる症状があるときの最初の一歩

歯周病と歯並びの両方に悩みを抱えていると、「どちらを先に相談すればよいのか」と迷うことがあります。結論から言えば、まずは現状の口腔内を総合的に評価してもらうことが先決です。歯周ポケットの深さ、骨の残存量、炎症の程度、歯の動揺といった情報を整理してもらうことで、矯正が検討できるかどうかの見通しが初めて立ちます。

「重度と言われたから」「年齢的に遅い」と感じて踏み出せずにいる方ほど、一度きちんと診てもらうことで気持ちの整理がつくことがあります。青山一丁目麻布歯科では、歯周病と矯正の両方を扱える体制のもとで、現在の状態と今後の選択肢について相談することができます。気になる症状があれば、受診という形で状態の確認から始めてみてください。

 

 

監修:青山一丁目 麻布歯科
所在地〒:東京都港区赤坂8-5-32 田中駒ビル1F
電話番号☎:03-6434-9877

*監修者
青山一丁目 麻布歯科
ドクター 安達 英一

*出身大学
日本大学歯学部

*経歴
日本大学歯学部付属歯科病院 勤務
東京都式根島歯科診療所 勤務
長崎県澤本歯科医院 勤務
医療法人社団東杏会丸ビル歯科 勤務
愛育クリニック麻布歯科ユニット 開設
愛育幼稚園 校医
愛育養護学校 校医
・青山一丁目麻布歯科 開設
区立西麻布保育園 園医

*所属
日本歯科医師会
東京都歯科医師会
東京都港区麻布赤坂歯科医師会
日本歯周病学会
日本小児歯科学会
日本歯科審美学会
日本口腔インプラント学会

投稿日:2026年6月9日

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