歯ぐきから血が出るのに痛くない…それでも歯周病が進んでいるサイン

 

 

歯磨きのたびに血が出ても、放置していませんか

「痛くないから大丈夫」が招く見落とし

歯ぐきから血が出ていても、痛みがないために受診を後回しにしているとしたら、それは歯周病の初期サインを見落としている可能性があります。痛みは体が発する警告信号ですが、歯ぐきの炎症は、痛みが出る前から静かに進行していることが珍しくありません。

「血は出るけれど、歯磨きが少し雑だっただけかな」と判断してしまいがちなのは、気持ちとして十分わかります。ただ、歯ぐきの出血は、組織に炎症が起きているサインです。そして炎症が続く状態とは、歯周病菌が歯と歯肉の境目で活動し続けていることを意味します。痛みの有無は、病気の進行度を反映するわけではないのです。

 

毎回少し出る血を「慣れ」で済ませていないか

歯磨きのたびに少量の血が出る状態が続くと、それが「いつものこと」に変わっていく感覚は珍しくありません。しかし、健康な歯ぐきは歯磨き程度の刺激では出血しません。出血が繰り返されるということは、歯肉組織が慢性的な炎症状態にあるというサインと捉えられます。

血の量が少ないこと、色が薄いこと、すぐに止まること——これらは「たいしたことではない」ではなく、「炎症がまだ浅い段階にある可能性がある」と読み替えることができます。初期段階であれば、適切なケアと治療によって改善が期待しやすくなります。逆に言えば、慣れとして放置することで、その段階が過ぎてしまう恐れがあります。

 

出血を放置した場合に起こりうること

歯ぐきの出血を対処しないままにしていると、炎症は歯肉内にとどまらず、歯を支える骨(歯槽骨)に向かって波及していく場合があります。歯肉炎の段階では歯ぐきの炎症が主ですが、これが歯周炎(歯周組織全体に炎症が及ぶ段階)へ移行すると、骨の吸収という変化が加わります。

骨の吸収は目には見えず、痛みを伴わずに進行することがあります。歯のぐらつきや歯ぐきの後退、歯が長く見えるといった変化として気づかれることもありますが、それらは骨の吸収がすでに一定程度進んでいることを意味します。出血という体のサインが出ている段階で状態を確認しておくことで、選択できる治療の幅が変わってきます。

 

 

 

歯ぐきの出血が「痛みなく」起きる理由

歯ぐきの炎症と痛覚の関係

歯ぐきの出血は炎症の結果として生じますが、その炎症が強い痛みを伴わないのは、歯肉の組織的な特性に由来します。炎症が起きると血管が拡張し、毛細血管の壁がもろくなるため、歯磨きのわずかな刺激でも出血しやすい状態になります。しかし、歯肉に存在する痛覚受容体(痛みを感知する神経末端)は、慢性的な炎症に対して反応が鈍くなる場合があります。

急性の傷であれば鋭い痛みを感じやすいのとは対照的に、じわじわと続く慢性炎症は痛みのシグナルが出にくい傾向があります。出血はあるのに「歯ぐきが痛い」という感覚を持てないのは、このメカニズムによるものです。つまり、出血と痛みは必ずしも同時に現れるわけではなく、出血だけが先行するケースは臨床的に珍しくありません。

 

歯周病が「静かに進む」仕組み

歯周病は、歯と歯肉の境目に堆積したプラーク(細菌の塊)を温床として歯周病菌が増殖し、歯ぐき・歯を支える骨・歯根を覆う組織を段階的に破壊していく感染症です。炎症の主役は細菌そのものではなく、細菌の毒素に反応した体の免疫応答であるため、破壊は外から見えない深部で進行します。

免疫が慢性的に働き続けることで、歯槽骨(歯を支える骨)の吸収が促進されます。この骨吸収は自覚症状を伴いにくく、かなり進んでから「歯がぐらつく」「噛むと違和感がある」として初めて気づくことも少なくありません。歯磨き時の出血はそのサインとして早い段階で現れる変化のひとつですが、痛みがないという理由で見過ごされやすいのが、この病気の進行を助長する一因と言えるでしょう。

 

出血だけを繰り返す歯ぐきの状態

歯磨きのたびに血が出るという状態が長期間続いている場合、歯ぐきはすでに慢性的な炎症の中にあると考えられます。健康な歯肉は引き締まったピンク色をしており、通常の歯磨きで出血することはありません。繰り返す出血は、炎症によって歯肉の毛細血管が脆弱になっていることを示す状態です。

「毎回少し出るだけだから」と感じる方も多いかもしれませんが、出血が習慣化しているということは、炎症も習慣化していることを意味します。炎症が持続する環境では、歯肉だけでなく、その下にある骨や歯根を支える組織にも影響が及ぶリスクが高まります。出血が止まらない期間が長いほど、歯周組織への累積的なダメージが蓄積されている可能性があることは、知っておく価値があります。

 

 

 

歯科医が出血の初診で確認する3つのポイント

歯周ポケットの深さと出血の関連

歯科医が出血の原因を判断する際、まず確認するのは歯周ポケット(歯と歯ぐきの境目にできる溝)の深さです。健康な状態であれば1〜3mm程度ですが、炎症が進んで歯ぐきが腫れたり、歯槽骨が吸収されたりすると、この溝が深くなっていきます。

ポケットの深さを測定する際、プローブと呼ばれる細い器具を溝に沿って挿入します。このとき出血が起きるかどうか、どの歯の周囲で起きるかを記録し、炎症の範囲と程度を把握していきます。痛みなく日常的に血が出ている方の場合、複数の歯で同時にポケットが深くなっているケースも珍しくありません。ポケットの深さと出血の分布を組み合わせることで、局所的な問題なのか、全体的な炎症なのかを見分けることができます。

 

骨吸収の有無をどう確認するか

歯周病の進行度を評価する上で、歯ぐきの状態だけでは判断しきれない部分があります。歯の根を取り巻いている歯槽骨がどの程度吸収されているかを把握するために、レントゲンや歯科用CTを用いた画像検査が行われます。

レントゲンでは歯と骨の位置関係や、骨の高さが失われていないかを確認できます。歯科用CTを用いると、骨の吸収が三次元的にどこまで及んでいるかを、より詳細に把握することが可能です。視診やプローブ検査だけでは見落としやすい骨の変化を画像で確認することで、歯ぐきの出血が「炎症だけの問題」なのか、「骨にまで影響が出ている段階」なのかを区別する根拠になります。この判断が、その後の治療計画の方向性を大きく左右します。

 

セルフケアの質が診断に与える影響

初診では、患者さんの日ごろの歯磨き習慣やセルフケアの質も、診断の重要な判断材料になります。どれだけ丁寧に磨いているつもりでも、プラークが歯と歯ぐきの境目に残っていれば、炎症は繰り返されます。磨き残しがどの部位に集中しているかを染め出し(プラークを染色して視覚化する検査)で確認することで、炎症の原因が習慣にあるのかを見極めることができます。

「毎日磨いているのになぜ出血するのか」と感じている方の場合、磨き方の方向や力加減、使用しているケア用品との組み合わせに問題があることも少なくありません。セルフケアの質を評価することは、治療の効果を予測するためにも欠かせないプロセスです。歯周外科治療が検討される際には、磨き残しが一定の基準を超えていると適応外となる場合があり、日常のケアが治療の選択肢そのものを左右することになります。

 

 

 

「痛みなし」でも歯周病が進行しているサイン

出血以外に見落とされやすい初期症状

歯磨き時の出血だけが唯一のサインではなく、口の中にはほかにも気づかれにくい変化が現れています。歯ぐきが赤みを帯びてぷっくりと腫れぼったく見える、歯と歯の間の歯ぐきが丸みを帯びて隙間を埋めにくくなる、口臭が以前より気になるようになる——こうした変化は、炎症が歯ぐきの表層だけでなく深部へ向かいつつある状態を示している場合があります。

「出血はあるけれど、腫れているとは感じない」という方も少なくありません。ただし、歯ぐきの腫れは必ずしも見た目の膨らみとして現れるわけではなく、指で触れたときの弾力の低下や、歯ブラシの当て方によって出やすい出血といった形で確認できることがあります。冷たいものや熱いものへの一時的なしみる感覚が増えた場合も、歯ぐきが退縮して歯の根元が露出しはじめているサインのひとつとして捉えられます。

 

炎症が骨に達するまでに起きていること

歯ぐきの出血が続いている段階では、多くの場合、炎症はまだ歯ぐきの組織内にとどまっています。しかし炎症が慢性化すると、歯と歯ぐきの境目に存在する歯周ポケットの内壁でプラーク中の細菌が定着を深め、歯ぐきの内側にある結合組織や、その先の歯槽骨へと影響が及びはじめます。

この移行は段階的で、かつ痛みを伴わずに進むのが一般的です。炎症が深部に及ぶ過程で、免疫細胞が細菌の毒素に応答して炎症性物質を放出し続けます。その結果として骨を吸収する細胞が活性化され、歯槽骨が少しずつ失われていきます。歯ぐきからの出血が「慢性化」している場合、この段階にさしかかっている可能性がある点が、出血を軽視できない理由のひとつです。

 

進行度を段階で理解する

歯周病の進行は、大きく4つの段階で整理されます。歯ぐきの炎症だけにとどまる「歯肉炎」、炎症が歯周組織全体に広がりはじめた「軽度歯周炎」、骨吸収が確認される「中等度歯周炎」、そして骨の消失と歯の動揺が顕著になる「重度歯周炎」です。歯磨き時の出血が初期段階から中等度への移行期にあたるケースも珍しくなく、見た目や痛みだけでは段階を特定することができません。

歯周ポケットの深さや骨の状態を把握するためには、歯科医院でのプローブ検査やレントゲン撮影が必要になります。「血が出るだけで他に症状はない」という状態が、実際には中等度に達していた、というのは決してまれなケースではありません。出血という変化を「段階を確認するきっかけ」として位置づけることが、その後の治療の選択肢を広げることにつながります。

 

 

 

出血の背景に重度歯周病が隠れているケース

軽症と重度を分ける境目の目安

歯ぐきの出血が「軽い炎症」か「重度歯周病のサイン」かを分ける大きな指標の一つが、歯周ポケットの深さです。一般的に、ポケットの深さが4mm未満であれば歯周炎の初期段階と判断されることが多く、4〜6mmでは中等度、6mm以上になると重度の状態に該当するとされています。

ただし、ポケットの深さだけで重症度が決まるわけではありません。出血の頻度や範囲、歯槽骨の吸収がどの程度進んでいるか、そして歯の動揺の有無も合わせて評価されます。「毎回血が出るが、1か所だけ」と「複数の歯から広範囲に出血する」とでは、状態の深刻さが異なる場合があります。

見落としやすいのは、出血が軽微でも、実際には骨の吸収が水面下で進行しているケースがあるという点です。表面の歯ぐきの見た目だけでは状態を判断できないため、レントゲンやCTによる骨の評価が診断において重要な役割を果たします。

 

歯周外科治療が検討される状態の特徴

歯周外科治療が選択肢として浮上するのは、歯周基本治療(スケーリングやブラッシング指導など)を十分に行っても、歯周ポケットの改善が見られない場合や、骨の吸収が進行して器具だけでは歯根面のプラークを取り除けない状態のときです。

具体的には、深いポケットが残存しており、通常の器具操作では根面に到達しにくい部位があるケース、または歯ぐきの形態そのものが細菌の温床になっている場合などが該当します。こうした状態では、歯ぐきを切開して直視下で処置を行うフラップ手術(歯肉剥離掻爬手術)が検討されることがあります。

なお、外科的な対応には適応条件があります。プラークの自己管理が一定のレベルに達していること、服薬状況や全身の健康状態に問題がないことなど、複数の条件を確認したうえで判断が行われます。出血が続いているからといって、すぐに外科処置になるわけではなく、段階的な評価が先行します。

 

歯周組織再生療法という選択肢が考慮される場合

歯周外科治療の中でも、歯周組織再生療法は、すでに失われた歯槽骨や歯根膜などの組織の回復を目指す治療として知られています。外科的にポケットを清掃するだけでなく、再生を促す材料を用いることで、支持組織の再建を図るという考え方です。

この治療が検討されるのは、骨の吸収が部分的に留まっており、骨の形態的に再生の可能性が見込まれると判断された場合に限られます。骨の吸収が広範囲に及んでいたり、歯根が大きくさらけ出されているような状態では、再生効果が得にくいとされるケースもあります。適応かどうかの判断は、レントゲンや精密検査の結果を踏まえて個別に行われます。

「出血だけで、まさか外科や再生療法の話になるとは」と驚く方もいらっしゃいますが、出血が長期間にわたって続いている背景には、すでに骨吸収が一定程度進行しているケースが存在します。表面の症状の軽さと、内部で起きている変化の深刻さが一致しないのが、歯周病という疾患の難しさです。

 

 

 

出血が止まらないときの治療の流れと判断基準

歯周基本治療で改善できる範囲

歯ぐきからの出血が続く場合、多くのケースで最初に行われるのが歯周基本治療です。具体的には、歯と歯ぐきの境目に蓄積したプラークや歯石を除去するスケーリングと、ブラッシング指導が中心となります。炎症の原因となる細菌の塊を取り除くことで、歯ぐきへの刺激が減り、出血が落ち着いてくることが多いとされています。

歯周基本治療が有効なのは、主に歯周ポケットの深さが比較的浅い段階、目安として4ミリ程度までの範囲です。この段階であれば、器具が届きやすく、プラークや歯石をきれいに取り除ける可能性が高くなります。治療後に歯ぐきの炎症が落ち着けば、出血も自然に減少していく経過をたどることがあります。

ただし、歯周基本治療はあくまで「原因の除去」を目的とした処置であり、すでに失われた歯槽骨を回復させるものではありません。治療後の状態を確認し、次の段階が必要かどうかを判断するための再評価がセットで行われる点も、治療の流れとして押さえておきたいところです。

 

基本治療では対応が難しくなる条件

歯周基本治療を経ても出血や炎症が収まらない場合、歯周ポケットが深く、器具だけでは歯根の深い部分に付着した歯石を十分に除去できていない可能性があります。歯周ポケットが5〜6ミリ以上になると、通常のスケーリングでは届きにくい領域が生じてくるため、状態の改善が得られにくくなることがあります。

こうした場合に検討されるのが、歯周外科治療です。歯肉を切開して歯根面を直接確認しながら清掃を行うフラップ手術は、深い歯周ポケットに対して有効な選択肢の一つとされています。ただし、毎日のセルフケアがきちんとできていること、特定の薬を服用していないことなど、外科治療に入るための条件が整っているかどうかを事前に確認する必要があります。

「基本治療で出血が止まらないから手術しかない」と一概に決まるわけではなく、口腔内の清潔度の指標となる磨き残し検査の数値が一定の水準を下回ることが、外科治療に移行する条件の一つとして挙げられます。プラークコントロールの状態が治療の方向性を左右する、という点は見落とされやすい判断軸です。

 

細菌検査で何がわかるか

出血の背景にどのような細菌が関与しているかを調べる手段として、細菌検査という選択肢があります。当院では「オルコア」と呼ばれる細菌検査を用いており、歯周ポケット内の細菌の種類や量を分析することができます。歯周病を引き起こす細菌にはいくつかの種類があり、毒性の強い細菌が多く検出されるケースでは、炎症が強く出やすく、治療の反応性も変わってくることが知られています。

細菌検査の結果は、抗菌薬の使用を含めた治療計画の組み立てに役立てられる場合があります。出血の程度や歯周ポケットの深さだけでなく、口腔内の細菌叢の状態を把握することで、より個別の状況に応じた対応を検討できるという考え方です。

「歯磨きを頑張っているのに出血が止まらない」という状況では、ケアの不足だけが原因ではなく、特定の細菌が関与している可能性もあります。細菌の種類という見えない要因が、症状の経過や治療の手応えに影響を与えていることがあるため、出血が長引く場合の評価材料の一つとして知っておく価値があります。

 

 

 

歯周病の出血に関してよく寄せられる疑問

市販の歯磨き粉で出血は止まる?

市販の歯磨き粉だけで歯ぐきからの出血を根本的に改善することは、難しいと考えられます。歯周病による出血の原因は、歯と歯ぐきの境目に蓄積したプラークと、そこに潜む歯周病菌が引き起こす炎症です。歯磨き粉に含まれる抗炎症成分や抗菌成分は、炎症の緩和を補助する働きは期待できますが、すでに歯周ポケットの奥深くに付着した歯石や細菌を除去する力は持っていません。

歯磨き粉を変えたことで一時的に出血が減ったと感じるケースでも、プラークや歯石が残っている限り炎症の火種は消えていません。「血が出なくなった」という変化だけで状態が改善したと判断するのは早く、歯周ポケットの深さや骨の状態は、口腔内を見ただけでは確認できない部分にあります。市販品でのケアを続けながらも、出血が繰り返されるようであれば、歯科での確認を検討する段階と言えるでしょう。

 

血が出なくなれば治ったと考えていいのか

出血が止まったことは改善の一つのサインではありますが、それだけで「治った」と判断することはできません。歯ぐきからの出血は炎症のサインであり、出血が止まるということは炎症が落ち着いた可能性を示します。しかし、歯周病の本質的な問題である歯周ポケットの深さや歯槽骨の吸収量は、出血の有無とは別に評価する必要があります。

歯ぐきが引き締まり出血が見られなくなった状態でも、歯周ポケットが深いままであれば、プラークが再び蓄積しやすい環境は変わっていません。炎症が慢性化した状態では歯ぐきが硬くなり、かえって出血しにくくなることもあります。つまり「出血しない=健康」という図式は必ずしも成立せず、出血の有無だけを指標にしていると、骨吸収が静かに進行しているケースを見落としてしまう可能性があります。

 

歯科医院に行くタイミングがわからない

「痛みがないから、まだ受診しなくていいのでは」と感じている方は少なくないのではないでしょうか。歯周病は初期から中等度にかけて自覚症状が出にくい疾患であるため、「何かあってから行く」という判断では受診が遅れがちになります。歯磨き時に毎回出血が見られる、歯ぐきが赤みを帯びている、歯と歯の間に隙間が気になるようになった——こうした変化が続いているときは、状態を確認するために歯科を受診するタイミングと考えられます。

受診の目安として「痛みがあるかどうか」よりも「繰り返す出血があるかどうか」を基準にすることで、より早い段階で状態を把握できます。歯周基本治療の段階で対処できる状態であれば、治療の負担も比較的小さく済む場合があります。一方、受診を先延ばしにするほど、歯周外科治療が必要になる段階まで進行するリスクは高くなります。「迷ったら診てもらう」という行動が、歯の寿命を左右する判断になることがあります。

 

 

 

出血が続く歯ぐきで後悔しない医院の選び方

歯周病専門の歯科医師が在籍しているか

歯ぐきの出血が続く場合、その背景にある歯周病の進行度を正確に診断し、適切な治療方針を立てるためには、歯周病を専門とする歯科医師の関与が大きな意味を持ちます。一般的な虫歯治療を中心とする歯科医院と、歯周病に特化した診療体制を持つ医院では、検査の精度や治療の選択肢に違いが生じることがあります。

歯周病の専門医や専門的な訓練を受けた歯科医師が在籍している医院では、歯周ポケットの深さの評価、骨吸収の状況、炎症の範囲といった判断をより細かく行える体制が整っていることが多いと言えるでしょう。「痛みがないから軽い炎症だろう」という自己判断が誤りであるように、診る側の専門性の差も治療の行方を左右する要素になり得ます。

 

精密検査と外科対応の両方に対応できるか

歯ぐきの出血を正確に評価するには、視診だけでは不十分で、歯科用CTを用いた骨の吸収状況の確認や、細菌検査による菌叢の把握など、複数の検査を組み合わせることが診断の精度を高めます。歯周基本治療だけで改善できるケースもありますが、炎症が深部まで及んでいる場合は、フラップ手術や歯周組織再生療法といった外科的な対応が検討されることがあります。

つまり、「まず検査で状態を把握し、必要に応じて外科処置まで対応できる」という診療体制が一つの医院内に整っているかどうかが、受診先を選ぶ際の重要な軸になります。途中で別の医院への紹介が必要になると、治療の連続性が失われ、患者さんの負担も増えてしまいます。精密検査と治療対応の両方を院内でカバーできる環境であることを、事前に確認しておく価値があります。

 

通いやすい立地と診療時間が継続治療を左右する

歯周病の治療は、1回の処置で完結するものではありません。歯周基本治療から始まり、状態によっては外科処置、そのあとのサポーティブペリオドンタルセラピー(歯周病の再発防止を目的とした定期的な専門管理)へと続く、長期的なプロセスです。どれだけ高度な治療を提供する医院でも、通院を継続できなければ治療の効果は十分に発揮されません。

「職場の近くで昼休みに通える」「土日も診療している」「平日の夜にも受診できる」といった条件は、治療の継続率に直接影響します。忙しい日常の中で受診のタイミングを確保するのは、多くの方にとって簡単ではありません。立地と診療時間の条件が自分のライフスタイルに合っているかどうかは、治療の質と同じくらい、長期的な成果を左右する現実的な要素だと考えられます。

 

 

 

予防とメインテナンスが再発を防ぐ理由

治療後に出血が再発しやすい口腔状態

歯周病の治療で炎症が落ち着いた後も、口腔環境が変わらなければ出血は再び現れやすくなります。歯周病菌はプラークの中で増殖し続けるため、セルフケアが不十分な状態が続くと、治療で取り戻した歯肉の健康は数か月という短い期間で崩れることがあります。

特に再発しやすいのは、歯と歯の間や歯肉の際など、歯ブラシの毛先が届きにくい部位です。歯周病の治療を経た歯肉は形状が変化していることもあり、以前と同じ磨き方では十分に対応できない場合があります。治療後の口腔状態に合ったケアの方法を把握していないまま自己流を続けると、同じ部位で炎症が繰り返されやすくなります。

 

サポーティブペリオドンタルセラピーの役割

サポーティブペリオドンタルセラピーは、歯周病の再発防止を目的とした定期的な専門管理であり、治療の「終わり」ではなく「維持」のフェーズとして位置づけられます。歯周病は一度の治療で根治する疾患ではなく、口腔内の細菌環境と全身状態のバランスによって慢性的に変動する性質を持ちます。

定期的な専門管理では、患者さん自身では除去できない歯石や、歯周ポケット内に残ったプラークを除去するとともに、歯肉の状態や出血の有無を継続的に評価します。こうした観察を積み重ねることで、再燃の兆候を早い段階で把握し、外科的な処置が必要になる前の段階で対応できる可能性が高まります。当院でも、治療後の状態を維持するためにサポーティブペリオドンタルセラピーを組み込んだ管理を行っています。

 

セルフケアと定期管理を組み合わせる考え方

歯周病の再発を抑えるうえで、専門管理だけに頼る形では不十分であり、毎日のセルフケアとの組み合わせが欠かせません。歯科医院でのケアは数か月に一度ですが、プラークは毎日蓄積するため、日常の管理が口腔環境の質を左右します。歯間ブラシやデンタルフロスを歯ブラシと併用することで、歯と歯の間に形成されるプラークを効率よく除去できます。

ただし、セルフケアの方法が適切かどうかは、自己判断では見えにくい部分があります。歯科医院での定期管理の場では、磨き残しの状況を可視化したうえでブラッシング指導を受けることができるため、ケアの精度を客観的に確認する機会にもなります。セルフケアの積み重ねと専門管理の両輪が機能することで、歯周病の状態が安定しやすくなるという関係性があります。

 

 

 

痛みがなくても、気になるなら診てもらいませんか

この記事で確認できた重要な視点の整理

この記事を通じて見えてきた最も重要な点は、歯ぐきからの出血が「痛みのないサイン」である以上、自己判断で状態を評価することの難しさです。出血は炎症の存在を示す客観的な変化ですが、痛覚が乏しいために自覚症状として認識されにくく、長期間にわたって見過ごされやすい性質があります。

歯周ポケットの深さ、骨吸収の有無、細菌の種類といった要素は、視診だけでは確認できません。進行度の判断には検査が必要であり、それを経ないまま「まだ大丈夫」と判断することには根拠がない、という点を改めて確認しておきたいと思います。

歯周病は、炎症が歯槽骨に達する前に対処できるかどうかで、その後の治療の内容や期間が大きく変わります。「痛くないから問題ない」ではなく、「出血がある以上、炎症が起きている」という視点の転換が、状態を悪化させないための第一歩です。

 

歯周病治療に向き合う当院の診療姿勢

青山一丁目麻布歯科では、歯周病治療を診療の核として位置づけ、日本歯周病学会専門医・指導医の資格を持つ歯科医師が在籍しています。歯周基本治療から歯周外科治療、歯周組織再生療法まで、状態に応じた段階的な対応が可能な体制を整えています。

細菌検査(オルコア)を用いた原因菌の特定や、CT・レントゲンによる骨の状態の把握など、精密な診断を経て治療方針をご説明しています。治療が終わった後のサポーティブペリオドンタルセラピーによる継続管理も、再発を防ぐうえで重要な位置づけとして取り組んでいます。

「患者さんを家族と想う」という診療姿勢のもと、表面麻酔や電動麻酔、33ゲージ針を用いた痛みへの配慮も行っています。全室完全個室での診療のため、気になることを落ち着いて話せる環境も整えています。

 

気になる出血がある方への最初の一歩

歯磨きのたびに血が出る状態が続いているなら、それは「体が出しているサイン」として受け取る価値があります。毎回少量だから、痛みがないから、という理由で判断を保留し続けることは、状態の把握を遅らせることにつながる場合があります。

受診を迷う理由はさまざまだと思います。「大げさかもしれない」「忙しくてタイミングが合わない」という気持ちは自然なことです。ただ、歯周病は進行段階によって治療の選択肢が変わる病気であり、早い段階であれば歯周基本治療の範囲で対応できるケースも少なくありません。

青山一丁目麻布歯科は青山一丁目駅から徒歩1分の立地で、平日夜間・土日祝も診療しています。港区周辺にお住まいや勤務先がある方も通いやすい環境です。出血が気になっている方は、現在の状態を確認するための第一歩として、一度ご相談ください。

 

 

監修:青山一丁目 麻布歯科
所在地〒:東京都港区赤坂8-5-32 田中駒ビル1F
電話番号☎:03-6434-9877

*監修者
青山一丁目 麻布歯科
ドクター 安達 英一

*出身大学
日本大学歯学部

*経歴
日本大学歯学部付属歯科病院 勤務
東京都式根島歯科診療所 勤務
長崎県澤本歯科医院 勤務
医療法人社団東杏会丸ビル歯科 勤務
愛育クリニック麻布歯科ユニット 開設
愛育幼稚園 校医
愛育養護学校 校医
・青山一丁目麻布歯科 開設
区立西麻布保育園 園医

*所属
日本歯科医師会
東京都歯科医師会
東京都港区麻布赤坂歯科医師会
日本歯周病学会
日本小児歯科学会
日本歯科審美学会
日本口腔インプラント学会

投稿日:2026年8月6日

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